へいわって どんなこと?
2020年3月15日

 「へいわって どんなこと?」、浜田桂子さんの絵本に出会った。日本、中国、韓国の絵本作家によって共同出版された稀有な絵本である。最初のページをめくると画面一杯に描かれた黒い大きな爆撃機の編隊をバックに、白抜き文字で「せんそうを しない」と書かれている。明確である。この最初の言葉にしても、国によって意見が異なったという。攻める立場と攻められる立場は、違うのである。ページをめくる毎に、新鮮で歯に衣を着せぬ言葉が飛び出す。

 「ばくだんなんか おとさない」「いえや まちを はかいしない」そして突然、母親に抱かれて満足げな幼児は、こう呟く。「だって、だいすきな ひとに いつも そばにいてほしいから。」これが、本音である。さらに、「おなかがすいたら だれでもごはんがたべられる。」「ともだちと いっしょに べんきょうだってできる。」「みんなの まえで だいすきな うたが うたえる。」絵本は、自由だ。子どもの理解力に合わせて言葉を選ぶのだから、それは仕方ないさ、と開き直る。読んでいても小気味良い。

 今、地球はいつ大きな戦争が起きても不思議のない暗闇の中にある。近代における大きな戦争のくり返しで、人類が学んだ教訓は、「武力による解決は、人の心にしこりを残し、新たな戦争への火種になる」という現実である。子ども達に戦争のない地球を残したいと思う。

 「へいわ」な世の中は、「おもいっきり あそべる」「あさまで ぐっすり ねむれる」そして皆なで楽しめるお祭りだって出来る。子どもが空を見つめながら叫ぶ。「へいわって ぼくが うまれて よかったって いうこと。」今こそ原点に立ち返り、すべての大人達が安心して子を育てられる、すべての子どもが「うまれて よかった」と思える、もちろん戦争と縁のない平和な社会を創るための一歩を進めなければならない。
院長のひとりごと