1歳の誕生日には麻疹ワクチンを
       それは我が子への愛の贈り物!

スギからヒノキへ、そしてイネ科の花粉へ。地球上のどの世界もめまぐるしく変化しています。日本の政治の変化ぐらい大したことはないと言っても、こちらは生活に響くからどうか良い方向へ変化をお願いいたします。
 さて、石川県の麻疹(はしか)はどうなったのでしょうか。本日(4月11日)、金沢市でも麻疹が発生したという情報が入りました。中能登から松任、そして金沢へ。人の流れに沿って感染症は拡がります。大流行とまでは行きませんが、潜伏しながら秘かに流行を画策している、そんな雰囲気です。流行をくい止める唯一の方法は、ワクチン接種しかありません。

  沖縄県における麻疹大流行

 (国立予防衛生研究所のホームページから引用しました。)1998年9月〜1999年8月まで沖縄県内で麻疹の流行が持続しました。沖縄県内3病院の報告によると、約1年間の入院患者は総計675人で、そのうち1歳未満が227人(34%)、1歳244人(36%)であり幼若乳幼児の年齢層に多いことが特徴的でした。その他、15歳まで年齢とともに減少しました。6ヶ月未満は30人(4.4%)であり、1ヶ月未満は6人で、母親からの垂直感染(母親が妊娠中に麻疹にかかり、胎内で赤ちゃんに感染する)が確認された赤ちゃんもいました。
 合併症は、肺炎(65%)、胃腸炎(18%)、喉頭炎(11%)、脳炎5人(0.7%)が見られました。死亡患者は8人(1.2%)で、重症肺炎6人、脳炎1人、重症肺炎+脳炎1人で、年齢は1歳未満3人、1歳3人、2歳1人、3歳(脳性麻痺児)1人でした。
 この時期、沖縄県内で同時に流行したアデノウィルス7型が同時に感染し、病状を増悪したしたということも指摘されました。
 この流行の原因として、沖縄県内における予防接種率の低さが指摘されました。1997年県全体の麻疹ワクチン接種率は、61%と報告されています。地域によって偏りがあり、50%以下の市町村もみられました。 一方、沖縄県小児保健協会の調査(1998年)では、1歳半健診時63%、3歳健診時84%となっています。しかし、いずれにしても予防接種率が麻疹流行を抑制できるレベルに達していなかったのです。

  6ヶ月以後ならワクチン接種可能

 県内の麻疹をこれ以上拡大させないためには、ワクチン未接種の乳幼児、学童、中学生、高校生、成人にワクチン接種を徹底させるより他に手はありません。松任市は1歳3ヶ月になると無料の接種券が送られて来ます。金沢市、野々市町は1歳になると送られてきます。松任市の3ヶ月遅れの理由は、1歳だと母親由来の麻疹抗体が赤ちゃんの体に残っていることがあるために抗体の出来る割合が95%なのです。3ヶ月遅れると抗体はほとんど無くなり影響を受けないのでこれが98%に上昇します。微妙な判断です。現在は緊急事態なので、松任市でも1歳になった子供には無料券を送付しています。ですから、松任市でも1歳をすぎたら券が来てなくても無料で接種できますので早急に受けてください。券は後からで結構です。
 1歳前の赤ちゃんはどうすればいいのでしょうか。1歳前でも麻疹はかかります。沖縄の報告でも1歳未満の患者さんが多かったことが報告されています。
 麻疹ワクチンは、生後6ヶ月以後なら接種可能になっています。1歳前の麻疹接種は現在のところ自費で接種するより仕方ありません。だいたい六千円前後です。子育て真っ盛り家庭にとっては大きな出費です。本当は、この時期の赤ちゃんにこそ公費で接種すべきだと思います。出来れば生後6ヶ月〜1歳の乳児に無料で麻疹ワクチンを接種し、1歳半になったら再度無料で接種する、これが完璧な麻疹ワクチン接種です。今の1回接種の場合は、沖縄県での流行から判断して、うまく抗体がついてない子供が100人のうち2〜3人みられたそうです。
 日本が豊かな国ならば、何の判断も出来ず言葉も発しない赤ちゃんにこそ愛をあげてほしいと思います。

  2回接種を目指す

 子供たちを守れるのは、お父さんお母さんの親身な思いしかありません。その思いが政治を動かし、法律を変え、麻疹ワクチンが1回から2回接種へと変わって行く原動力になります。法律は、その国の国民のための取り決めです。こちらがより良いと分かれば、柔軟性をもって変更していくこと、それこそ住み良い社会を作っていく基だと思います。
 小児科医も子供を守りたい気持ちでいっぱいです。どうぞ私たちの知識をご利用ください。本望です。
   
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