世は電子カルテの時代です

 本日(7月15日)、夕方のニュースで北陸地方の梅雨が明けたことが報道されていました。数日前からの猛暑と入道雲は、その気配を十分感じさせていたのですが、気象庁も認めざるを得なかったのでしょう。気象学で多分ちゃんとした定義があると思いますが、自然の変化に人間の感性が夏を感じてしまえば、梅雨はすでに終わり支度をしている証拠です。 早く来い、暑い夏よ来い。
 さて、今月のマンスリーニュースは、医療界電子化への暑い波と今後の展望などを話題にしたいと思います。

  誰かオルカ(ORCA)

 親父ギャグを発している場合ではありません。日本医師会では、ORCA(オン-ライン・レセプトコンピューター・アドバンテージ)という電子化時代の最先端を行く医療事務処理システム(レセコン=レセプトコンピューター)を軌道に乗せようと頑張っています。私も13年前に開業した時、医療事務用のコンピューターは当たり前という感じで備え付けました。それまでは、患者さんの診療記録を手書きで一枚一枚レセプト用紙に書き込むのが普通だったのです。コンピューターを使うことがどれだけ楽か、手書きで書いていた経験があれば天と地の差だと推測します。残念ながら当院の場合、最初からレセコンだったのでその便利さを知りません。ひと昔が過ぎ去った今、開業時にレセコンはもちろんのこと「電子カルテも入れようか。」という時代になって来ました。
 また、これまでレセプト用紙のみ受け付けていた保険事務所が、コンピューターのフロッピーディスクでも受け付けてくれるようになりました。つまり、コンピューターに入っている患者さんの診療記録を紙に印刷しないでも、あの小さな、平べったい、四角い、お馴染みのフロッピーディスクでも診療費の請求が可能になったのです。これが進めばずいぶん紙の節約になります。現在、レセコンは、ほとんどの医院の強い味方なのです。

  情報ネットワーク研究会

 先週の土曜、日曜(7月7日〜8日)に、兵庫県西宮市で、第15回地域医療情報ネットワーク研究会が開かれました。私も初めて参加させてもらいました。話題は、オルカ、電子カルテ、医師会員のネットワーク、画像の転送、さらには「情報化によって医療がどう変わっていくか」という興味ある特別講演もありました。あたらし物好きの私としては、電子カルテに最も興味がありました。電子カルテのいくつかが発表されていましたが、まだ何か使いずらそうです。電子カルテのために秘書を一人おいて診察しているという発表がありましたが、おかしい感じがしました。人手を減らすのがコンピューターのはずなのに・・・
 「理想とする電子カルテってどんな物かな。」と考えてみると、患者さんの診察状況や会話が自然のやりとりの中で記録されていく、つまり医師と患者の間に邪魔者なく診察とコミュニケーションがとれながら記録されていくいくことじゃないかと思いました。そんな装置って無理でしょうね。記録は大事ですが、手書きのカルテのわずらわしさを、電子カルテがどれだけ良い方向に補ってくれるかが問題です。

  更にオルカについて

 オルカは、オンラインと初めに書かれているように、医療機関のレセコンをすべてインターネットでつなぐ予定になっています。ここが今までのレセコンとは違うところです。さらに電子カルテが加われば、それは医療情報を医師会員が共有するということになります。一人の患者さんについて、その患者さんがどの医療機関を訪れても、以前なされていた医療内容が医療機関に張り巡らされたネットワークによって瞬時に送られることになります。こんな好都合なことはありません。重なる検査は不要になります。患者さんにとっても、医療費の無駄使いという面からも素晴らしいではありませんか。また、どこでどんな病気が流行っているか、拡大しているのか、治まる方向なのかということも正確に把握できるはずです。
 患者さんが医療不信になるのは当然という医療事故が頻繁に報道されています。人間にとってミスは避けられないことかもしれませんが、人命を扱う仕事ではミスを極力減らすことと素早い対応が望まれます。オルカは、この面でも一つの足がかりになると期待されます。

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