子供の主治医はお母さん   

 小児科医としていつも感じるのは、「子供の最も身近な主治医は、お母さんだなー。」ということです。いつも一緒にいるのだから当たり前と言ってしまえばそれまでですが、直感的な「何かおかしい。」、「いつもと違う。」という感覚は、本当に感心させられます。

生後8カ月で細菌性股関節炎の見つかったNちゃん

 お母さんは、N ちゃんが、今朝から左の足を動かさないと言って来院されました。あまり重症な感じは受けなかったのですが、確かに左足を動かすのを嫌がります。少し前から風邪気味だったとの話です。もしかして、関節に細菌がついたかなと思いました。もしそうなら、一刻をあらそいます。手遅れになると、左足に一生障害が残ってしまいます。すぐ、総合病院へ連絡をとり、紹介状もそこそこに、出発してもらいました。後から、股関節に膿がたまっていたという主治医の報告を受け、お母さんの言葉を信じて本当によかったと感じました。


   お母さんは、名医です

余裕をたくわえて子供の変化に敏感になろう
 子供は、弱い存在です。自分の気持を表現するために、色々な手を使います。それは、わざとではありません。ひかえめな気持が、自然にそうさせてしまうのです。関節が痛いと言えないN ちゃんは、笑わず、足を動かしませんでした。親に余裕が無ければその変化も見逃していたでしょう。大人の問題で、頭が一杯になっていると、その余裕は生まれません。不景気な会社は、お父さんをいじめることで、生き延びようとします。会社でいじめられているお父さんは、お母さんを愛する余裕がありません。お父さんに愛されていないお母さんにも、余裕は生まれません。こう考えると、子供の健康は、宮沢首相の政治手腕にかかっていると言って良いでしょう。本当かな?

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