食育(しょくいく)=食べて育つ?

 白山市はイネ科花粉の真っ盛りです。田圃のイネはまだまだ赤ちゃんですが、あぜ道や道路沿いにはたくさんのイネ科花粉がひしめいています。当院では4月半ば頃からイネ科花粉が見られるようになりました。イネ科植物と言っても20〜30種類もあり、種類によって花粉を飛す時期が違います。教科書にはイネ科植物の名前がたくさん書いてあります。スズメノテッポウ、オニウシノケクサ、ホソムギ、ナガハグサ、カモガヤ、オオアワガエリ・・・まだまだありますが、何しろイネに似た葉をもつ雑草がたくさんあって半年間ほど6月〜7月をピークに飛び続けるんです。晴れた日に鼻がムズムズ、くしゃみ頻発の方はお気を付け下さい。子どもでも2歳を過ぎたら要注意です。根本的に治す治療法はありませんが、症状を収める治療法はありますからご相談ください。
 さて、今月のマンスリーニュースは、花粉症と関係ない「食育」について勉強しましょう。

  食育とは?

 最近、食育という言葉をよく耳にします。食育とは一体何でしょうか。「食べて育つ」「食べながら育つ」「食べさせて育てる」・・・どれが正解なのか私にも分かりません。こういう時にはインターネット検索に限ります。「食育」を検索してみました。いろいろ出てきます。河村文部科学大臣のホンネトークでも語られていました。


 
『わが国では、昔から「知育・徳育・体育」が教育の基本と言われてきましたが、今それらに加えて注目されているのが「食育」です。このたびの大臣就任にあたっても、小泉総理から、食育を含めた「人間力向上」のための教育改革をさらに進めてほしいとのご指示を受けました。
 食育とは、ひとことで言えば食に関する教育ですが、単に望ましい食習慣のための知識を身につけるだけでなく、食卓での一家団らんを通じて社会性を育んだり、わが国の食文化を理解したりすることも含む幅広い教育です。
 実は、私の子ども四人のうち二人は小さい頃からアトピー性皮膚炎で育てるのに苦労しましたが、そのお陰で私は早くから食育に注目し、アレルギー性の病気や生活習慣病の予防・治療の上でも効果があると強調してきました。
 また最近では、BSE問題に端を発した食品安全への意識の高まり、子どもが一人で食事をする「孤食」や若者の拒食症の問題、低下しつつある子どもの体力向上への対応など様々な課題が出てきていますが、こうした中で、学校や家庭において食育を充実していくことがますます重要になっています。
 文部科学省も、これまで学校給食の実施をはじめ教材の作成やシンポジウムなどを通じて食に関する指導に取り組んできましたが、今後、その主役として期待されているのが、新たに創設される「栄養教諭」です。
 栄養教諭は、学校における食に関する指導の中心になるとともに、家庭や地域と連携して食育の充実を担います。具体的には、他の教職員とも協力しながら、子どもたちの食生活に関する個別相談に応じるとともに、給食や学級活動の時間などを活用して指導を行うほか、学校給食の管理も担当します。学校栄養職員の方々が栄養教諭になる道も開きます。現在、中央教育審議会で審議していただいており、本年中に答申をいただいたら、法改正など具体的な準備に取りかかる予定です。
 もとより食育は、文部科学省だけでなく関係省庁や自治体、全国の学校、そして何よりも家庭が連携して進めていく必要があります。国民の皆さまにもぜひ食育に関心を持っていただき、ともに充実させていきたいと思います。』


 
この文章を読んでいて大きな間違いに気がつきました。そうです。私は「食育」=「食べて育つ」「食べれば育つ」なんて気軽に考えていましたが、大臣のお話では「知育・徳育・体育」と同じレベルの「食に関する教育」、つまり「いかに食べ、いかに育つか」の事でした。何と難しい問題に取り組んでしまったのでしょうか。下調べもしないでマンスリーニュースを書きだした付けが回ってきました。反省!

  なぜ今「食育」なのか

 最近、食と関係して気づくことをあげてみます。
 当院の1歳健診で貧血の子どもが時々診られます。お話を聴いてみると、離乳食からつまづいてミルク主体のまま育ってしまったようです。他のものを食べないからついミルクをやってしまう。ミルクをお腹一杯飲んでしまえば離乳食は食べられません。悪循環に陥ってしまいました。母親も分かっているのですが、貧血を指摘されると「やっぱり」という感じです。それでは、離乳食につまづいた原因は何でしょうか。子どもに離乳食を無理強いする、あせった様子が浮かんできます。食べさせることに孤軍奮闘です。家族が多かった時代には、みんなが食べている様子を見回しながら新しい食べ物に挑戦する乳児の姿が自然でした。家族が美味しそうに食べていると寄ってきて「アーン」と開いた口に入れてあげます。難なく離乳が進みました。核家族の多い現代、少なくとも父母が協力して一緒に夕御飯が食べられる環境を作りたいですね。それが当たり前という時代がちゃんとあったのです。その時間を利用して、夫婦の会話も親子の会話も増えるでしょう。箸の持ち方や食べるときの姿勢も夫婦で子どもに教えられます。それが以外と大事だったんですね。文部科学大臣もそう言っているんですから確かです。上司に「子どもと夕御飯が食べたい。文部科学大臣もそう言っています。」と伝えましょう。顔つきを見ながらね。
 さて、学校検診で肥満児が多いと感じる機会が増えました。幼児期からの肥満傾向が、小学校へと繋がっていき、高学年になると立派な肥満症という病気になっています。将来の生活習慣病予備軍が出来上がりました。肥満児が増えている背景には、遺伝もありますが、食生活と日常生活(車やゲーム)の変化が大きいように思います。スーパーやデパートの食品売り場には、世界から集まる総菜があふれています。家で料理を作らなくても出来上がった「おかず」が「母の手作り」の顔をしてショーウィンドウ一杯に並んでいます。肥満への誘惑は生活の至る所に潜んでいます。さてここで「食育」です。将来の健康生活を守る為には、小さな頃から食べ物に対する知識を増やし、必要なものと必要でないものを判別出来る能力を育てる事が大事です。
 そう考えていくと「人間ってバカ」・・ですね。自らの行為で自らが滅びる。
  (これ原子爆弾も地球温暖化も森林破壊も一緒ですね)
生活が便利になる度に寿命を縮めている人間。

 何か可愛そうな人間。

  だから愛すべき人間。
 

 
人間よ!
 クルマ文化とグルメ文化は、
 快適だけど気を付けよ。
         (神の声)

    目次へもどる    次ページへ