怖いよ! 鳥インフルエンザ

 11月も既に半ばです。最近は、休日がいつも悪天候に見舞われていましたが、今日(13日)は、暖かでした。残念ながらゴルフはありませんでした。今日は勉強の日です。夕方から小児科医会の講演会に出席してきました。金沢大学小児科附属病院での難しい患者さんのお話や、最近の小児喘息治療のお話をお聞きしました。大学に紹介されて来る患者さんはなかなか教科書どうりには行かない患者さんです。「へー、そんなことが起こるのー」という感じです。頭の片隅に置いておけば、いつの日か役に立つことがあるかも知れないけど、一生出会わないかもしれません。「出会った時には既に忘れている」なんていうことがないようにたたき込んでおこうと思うけど、何せ記憶力が衰えがちで・・・
 さて、今月のマンスリーニュースは、最近よく耳にする「鳥インフルエンザ」についてお話します。

  鳥インフルエンザとは?

 鳥インフルエンザとは、簡単に言えば鳥がかかるインフルエンザの事です。馬がかかるインフルエンザは、馬インフルエンザ、豚ならば豚インフルエンザです。鳥インフルエンザには、感染して重症になるタイプと軽く済むタイプの2種類があります。軽いタイプの場合には、鳥の症状は軽い呼吸器症状や下痢だけで済みます。ところが、強いタイプの場合には、かかった鳥が100%死んでしまいます。鳥インフルエンザは、もともとは人間にうつらないと考えられていましたが、1997年、香港でH5N1の強いタイプの鳥インフルエンザに感染した住民18名が入院し、6名が死亡するという事件が起こりました。こうして、鳥から人間にうつることが分かってきました。その後、インドネシアやベトナムなどアジアの各地で、強いタイプのウィルスが飼われている鳥に感染し、更に人間に感染する事件が続いているのです。この事件はヨーロッパにも及んでいます。また、ウィルスが変異して人から人にうつることが簡単に起こるようになれば大変なことになります。何しろ鳥インフルエンザに対する抵抗力のない人間がかかるのですから重症になり死亡する可能性が高いのです。香港でも16名中6名が死亡しました。死亡率は30%です。
 日本国内でも鶏インフルエンザの報告がありましたが、強いタイプのインフルエンザはまだ見つかっていません。
 鳥への感染を繰り返しているうちに、人間にも感染する新型インフルエンザが生まれてくることは確実と言われています。1918年、スペインから流行りだしたインフルエンザは急速に全世界に拡がり、世界で3000万人が死亡しました。これが世界的大流行(パンデミック)と言われるものです。
 このパンデミックが、現実になる日が近づいているのです。猶予はありません。

  新型インフルエンザ襲来

 新型インフルエンザは、20世紀に4回出現しました。スペイン風邪(1918年)、アジア風邪(1957年)、香港風邪(1968年)、ソ連風邪(1977年)です。10年から数10年に一度世界的流行を引き起こしています。今回の流行の前兆も「そろそろ出るぞ」という前触れなのでしょう。現代の流行がどんな様相を呈するかまったく予想がつきませんが、昔と比較して人の流れが活発になっていることは明かです。伝染する速度も予想以上に急速である可能性があります。しかし、いろいろなメディアの発達した現代、どこで発生したかという情報も早いですから、その地区への接触を避けることも確実に出来るでしょう。流行を最小限にくい止める努力が、現代を代表するインターネットを介して行われ、良い結果を生み出す可能性もあります。各地で繰り返されているテロや小競り合いを一時中断して、戦争よりももっと大きな犠牲者を出すかもしれないパンデミックに世界を挙げて封じ込める努力が成されるかもしれません。人の命を、敵であれ味方であれ大事にするという人類共通の願いを共感できる機会になるかもしれません。人が協力する素晴らしさを、戦争だけしか知らない子ども達に知ってもらう機会になるかもしれません。
 夢のような事を考えていると思われたでしょうか。そうでもないような気がします。インフルエンザの世界的大流行は、宇宙人の地球征服に似ているのではないでしょうか。その時こそ全人類が力を合わせて地球を守り、人の命の重さを知るのでしょう。

  新型インフルエンザへの対応

厚生省が今年3月に「国民の皆様へ」という鳥インフルエンザについての注意点をまとめて発表しています。その一部をお知らせします。

 今年の1月以来、国内の鶏等に鳥インフルエンザが数例発生しております。
 国民の皆様には、鳥インフルエンザウイルスの人への感染の可能性や自宅で飼っている鳥が死んでしまった場合の対処方法などについて、正しい知識を身につけていただくようお願いいたします。
@鶏肉、卵の安全性について
 3例目の発生農場から鶏肉及び鶏卵の一部が食品として流通しており、発生農場の事業者が自主的に回収していますが、こうした取組が鶏肉や鶏卵の安全性について不安や混乱を招いています。
 鳥インフルエンザについては、これまで、鶏肉や鶏卵を食べることによって、人に感染したという事例の報告はありません。このため、食品衛生の観点からは、鳥インフルエンザ発生農場から出荷された鶏卵や鶏肉を回収する必要はないものと考えられます。
 家畜衛生の観点から、生きた鶏等がウイルスに感染することを防止するために、鶏肉や卵の回収が必要ですが、その場合における回収を必要とする範囲(生きた鶏等に接触するリスクが相当ある場合)については、近く、専門家の意見を聴いて明確化する予定です。
●鶏卵を「生」で食べることが健康を損なうおそれがあるとの報告はこれまでありませんが、不安な方は、加熱(WHOの食中毒防止のための加熱条件:中心部70℃、瞬間)することをおすすめします。
●鶏肉は十分加熱して食べて下さい。未加熱又は加熱不十分なままで食べることは、食中毒予防の観点からおすすめできません。
A鳥インフルエンザの人への感染について
鳥インフルエンザは、この病気にかかった鶏と接触して、羽や粉末状になったフンを吸い込んだり、その鶏のフンや内臓に触れた手を介して鼻からウイルスが入るなど、人の体内に大量のウイルスが入ってしまった場合に、ごくまれにかかることがあることが知られています。
 また、今年に入ってから、人が鳥インフルエンザにかかったことが確認された例は、世界的にみてもベトナムとタイであわせて32例(3月5日現在)ありますが、これまで人から人にうつったことが確認された例はありません。
 日本では、この病気にかかった鶏等が徹底的に処分されており、通常の生活で病気の鳥と接触したり、フンを吸い込むようなことはあまりないことから、鳥インフルエンザに感染する可能性はきわめて低いと考えられます。
 なお、厚生労働省では、医療機関が鳥インフルエンザにかかった疑いのある患者を診察した場合には直ちに報告をしていただくよう体制を整備しています。鳥インフルエンザに感染したり感染が疑われる鳥と接触した後で、発熱などインフルエンザを疑う症状が出た場合には、医師にその旨を告げて受診して下さい。
B飼っている鳥、野鳥が死んでいるのを見つけた場合等について
●鳥を飼っている方の留意点について
 国内で鳥インフルエンザが発生したからといって、直ちに家庭等で飼育している鳥が感染するということはありません。
 清潔な状態で飼育し、ウイルスを運んでくる可能性がある野鳥が近くに来ないようにし、鳥の排せつ物に触れた後には手洗いとうがいをしていただければ、心配する必要はありません。飼育中の鳥を野山に放したり、処分するようなことはせず、冷静に対応下さいますようお願いいたします。
●飼っている鳥が死んでしまったら
 鳥は生き物ですから、人と同じようにいつかは死んでしまいます。そして、その原因も様々ですから、鳥が死んだからといって直ちに鳥インフルエンザを疑う必要はありません。鳥インフルエンザにかかった鶏は、次々に死んでいくということが知られていますので、原因が分からないまま、鳥が次々に連続して死んでしまうということがない限り、鳥インフルエンザを心配する必要はありません。
 原因が分からないまま、鳥が連続して死んでしまったという場合には、その鳥に素手で触ったり、土に埋めたりせずに、なるべく早く、お近くの獣医師、家畜保健衛生所又は保健所にご相談下さい。
●野鳥が死んでいるのを見つけた場合に
 野鳥も飼われている鳥と同じように、様々な原因で死亡します。飼われている鳥と違って、エサが取れずに衰弱したり、環境の変化に耐えられずに死んでしまうこともあります。
 また、野鳥は、鳥インフルエンザ以外にも様々な細菌や寄生虫を持っていたりします。野鳥が死んだ場合には、鳥インフルエンザだけでなく、こうした細菌や寄生虫が人の体に感染することを防止することが重要です。
 野鳥が死んでいるのを見つけた場合には、細菌や寄生虫に感染しないよう、死亡した鳥を素手で触らずにビニール袋に入れてきちんと封をして廃棄物として処分することも可能です。このような場合に直ちに相談していただく必要はないと考えられますが、不安な場合には、市町村、獣医師、家畜保健衛生所又は保健所にご連絡下さい。
 
 
つい最近政府は、新型インフルの流行に対応するため、抗インフルエンザ薬(タミフル)を多めに購入しておくようにという通達を医療機関に伝えました。効果はあると思いますが、副作用で異常行動がみられる可能性(2名事故死)が新聞で伝えられました。また、年毎に効き目が落ちています。
 
何ともはや!
  新型インフル用ワクチンを早く!


     
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