「横浜で外来小児科学会」

 9月も半ばを過ぎたというのに昼間は暑いですね。でも朝夕は涼しくなって「秋だなー」という気持ちを起こさせてくれます。特に夜、ウォーキングに出かけると実感します。
 北陸の秋は短いですから、機会があったら即生活を楽しみましょう。今日(17日)は運動会が多かったようです。昨日の予想からすると大雨と思っていたけど、午前中から午後へと雲が切れて運動会日和になりました。私の運動会の記憶も、途切れ途切れに残っています。確か、小学校一年生の時は、リレーの選手でした。そうです。走るのが速かったんです。そして、障害物競走が好きでした。そうです。身体が小さかったから、すばしっこかったんです。今では信じられませんがね。
 さて、今月のマンスリーニュースは「横浜で外来小児科学会」です。職員と共に参加してきましたので、ご報告します。

   横浜へ

 私は、横須賀が故郷ですが、横浜までは電車で30分です。19才の時に金沢に来て住み着いてしまったので、北陸が第2の故郷です。親戚の用事や学会の関係で、たまに横浜を訪れることはありますが、年と共にその姿を変えていきました。現在、横浜駅周辺は昔とは大違いです。港に面して、ホテルやビルが林立しています。町も人であふれています。神戸に似た港町ですし、中華街があるのも一緒ですが、雰囲気は違います。横浜は、いつ行っても明るくてモダンな田舎町です。横須賀に住んでいた時も、横浜へ行くときは胸が高鳴りました。横須賀の本当の田舎から、ちょっと違う人種が住むモダンな田舎へ行くという感じでした。
 そんな横浜で、職員も参加できる外来小児科学会が開かれたので、慰安会も兼ねて出かけました。皆さんにはご迷惑をおかけしましたが、9月1日(金)の午後の飛行機で羽田に向かいました。学会は2日からだったので、まずは慰安会です。夜の東京見物をして、予約済みのイタリアンレストランに向かいました。東京には美味しい店が沢山あるでしょうが、その中で美味しいという評判をとるのは大変な努力だと思います。一品一品を味わいながら、全員が納得した顔をしています。日本人向けの味付けと、新鮮な食材、盛られている量にも気を遣っているのが分かります。美味しい食べ物は話も弾みます。
 お腹がきつくなり、アルコールで気持ちよくなれば、あとは寝るだけです。最終電車に揺られて、横浜にやっと着きました。金曜日の夜です。都会人にとっては、まだ宵の口です。ビル街は人はまばらですが、飲食街の店は人が集まっています。恋人達にとっては、貴重な金曜の夜に違いありません。私たちの頃は、土曜日だったけど。ホテルの部屋から見た横浜の町は、宵っ張りの子どものように、「まだ寝るものか」と、ランランと目を輝かせていました。でも「おねんね」もすでに時間の問題です。

ワークショップ(WS)に参加して

 この学会の特徴は、何と行ってもワークショップです。医師や看護師、事務員など医療に関係する人々が、自分の興味ある話題を扱ったWSに参加して、お話を聴くだけではなく、自分も積極的に意見を出し合って勉強しようという企画です。もちろん、普通の学会のように、講師による講演や医師、看護師によるそれまで蓄積してきた成果を発表する機会もあります。その発表だけを聞いて、適当に質問するのも一つの参加方法です。しかし、WSに参加すると、仲間意識が芽生えてその後も、同じ話題について毎年深めながら勉強する機会にもなります。そんな機会は、開業医にとってなかなか得られない貴重な体験です。年毎に会員数が増えているのもうなずけます。
 私も、土曜日の午前中開かれる、「複数ワクチンの同時接種を実施しよう」というWSに申し込んでありました。日本では、生ワクチン接種後は、四週間、生でない不活化ワクチンを接種した後は、一週間間隔を空けるよう指示されています。例外的に、医師が必要と認めた場合のみ同時接種が出来ることになっています。しかし、米国の教科書には、2種類以上の不活化ワクチンと、不活化ワクチンと生ワクチンの接種間隔について、同時あるいはどんな間隔でも接種可能になっています。問題は、2種類以上の生ワクチンですが、同時でない場合は、最低28日間隔で接種と記載されています。つまり、同時ならば2種類以上の生ワクチン接種は可能なのです。今年の4月から「麻しん・風しん混合ワクチン」が開始されました。この時にDPT(ジフテリア・百日咳・破傷風)3種混合ワクチンを同時に接種出来るはずですが、健康センターや厚生労働省に問い合わせると、同時接種には消極的です。今年は2回目のWSなので、「同時接種を実施しよう」ということで、参加した先生方の現状報告がありました。当院はまだ、未経験ですが参加された先生の多くは同時接種を経験されていました。そこで、当院でもまだ公費接種がされていない、おたふくかぜと水痘ワクチンを希望されるお子さんに同時接種することにしました。1ヶ月後に抗体検査をしてワクチンの効果を確かめる予定です。その結果をまとめれば、同時接種推進の安全証明になるでしょう。痛みは少ないに越したことはありません。ご希望の方は、お申し出下さい。
 学会2日目、日曜日の午前中に、当院全員で参加したWS「すてきなクリニックになるために」がありました。患者さんに選ばれる小児科医院を目指して百名以上の参加者が各テーブルに別れて話し合いました。話題は、もっぱら職員間、職員・医師間のコミュニケーションをいかにスムーズにとるかという事です。朝昼晩と、昼食時も含めて頻繁に話し合いの機会をとっている医院もありました。いろいろな話を聞いて大変刺激になりました。学会から帰ってからは、その時の刺激を実践しています。朝、外来が始まる五分前に職員さんの顔を拝見する機会を作り(院長の顔も見てもらい)、必要な伝達事項を伝え合っています。また、1〜2週間間隔で、昼食時のミーティングを取り入れることにしました。これまでも必要な時にはやっていたのですが定期化することにしました。もう一つは、院長も含めた職員日誌です。その日の申し送りや、気づいたこと、その他何でもを帰るまでにノートに書きこんでおくのです。診療後、読みながら、「へー、そうだったのか」ということも多いです。むとう小児科医院も少し前進しました。

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