自殺対策連絡会議

   あけまして
     おめでとう
       ございます

 2007年、猪年の始まりです。1月も既に半分を経過してしまいました。今年も暖冬という予想に反せず、いつもなら雪とミゾレに寒い日々を過ごしている北陸の住民も楽な毎日です。雪かきのお仕事もバカになりませんから、否応なくさせられている重労働からも解放されています。そのかわり運動不足です。予想に反して喜んでいるのはゴルフ場でしょう。いつもならクローズされている季節ですから、ホクホクです。それに反して大変なのはスキー場。悲喜こもごもの雪国模様です。
 さて、新年のマンスリーニュースは、増え続けている自殺者にどう対応するかを話し合う「自殺対策連絡会議」についてお話します。

  自殺者が増えている

 近年の日本の自殺死亡の推移を見てみると、平成9年に総数24,391人だったものが、平成10年には主に男性の死亡数増加によって32,863人と著明に増加しました。その後も32,000人前後を前後しており、特に平成15年は35,000人に迫る勢いでした。この死亡数は、交通事故死の4から5倍の数にあたります。バブル崩壊から景気の低迷が続いていたことが大きな原因と考えられますが、政府も対策をとらざるをえなくなり、平成17年7月に「自殺に関する総合対策の緊急かつ効果的な推進を求める決議」という決議が行われ、9月には「内閣府に自殺対策関係省庁連絡会議設置」(内閣府を筆頭に、警察庁、総務省、法務省、文部科学省、厚生労働省など九省庁)・・・などの流れから平成18年6月21日公布の「自殺対策基本法」が作られ、昨年10月28日に施行されました。この法律の目的は、当然自殺者の数を減らすのが目的です。県の責務として、国と協力してその地域に応じた対策を作って実施しなさいと言うものです。基本的な方法としては、@県民の理解の増進A人材の確保B自殺予防対策の整備C医療体制の整備D自殺未遂者支援E自殺者遺族の支援などがあげられています。
 国内統計で自殺率が高いのは、東北地方です。石川県は中間ぐらいですが、国の意向を受けて自殺対策に乗り出しました。県内の自殺数は、平成7年に194人でしたが、17年には、294人と100人も増加しています。自殺者数の年令は50才代から60才代以上が多く、最近10年間の自殺率では、20才代から50才代の働き盛りが増えています。高齢者は、病気や孤独など、勤労者は、過労やリストラなど、児童・生徒は不登校やいじめ、ひきこもりを引き金として、うつ病やアルコール依存、拒食などの病気の状態を示しながら自殺への道をたどっていきます。周囲にいる人間は、そのサインに早く気づき、どうにかくい止める手段を講じなければなりません。その為にはどうしたら良いかを検討するのが自殺対策連絡会議です。

  自殺したい気持ち

 私の人生において、「自殺をしたい」と思ったことはあっただろうかと考えてみました。小学校から中学、高校そして大学へ。小学校3年〜4年頃に、乱暴な同級生にいじめられた事がありました。学校へ行くのがいやになったけど、死のうとまでは考えなかった気がします。ある日、からみついてくるいじめっ子に、大きな声で「やめろー」と怒鳴ったら、次の日から私に近づかなくなりました。私が、そんな大きな声を出すとは思わなかったのでしょう。初恋に破れたときも自殺を考えたことは無かったです。4つの大学を落ちて、浪人が決まり、更に駿台予備校にも落ちた時は、世の中真っ暗に見えたけど死のうとは思わなかった。横浜の試験のない寛容な山手予備校に入れてもらって、「よし、頑張ろう」とどうにか1年間の目標が決まりました。心が不安定であったことは確かだけど死のうという気は起こらなかった。家に帰れば、温かいご飯が用意され、落ち込んでいる息子に言葉少なに様子をうかがう母親の言葉がありがたくもあり、うっとうしくもあり、複雑な気持ちが揺れていました。と、格好良く書いてみたけどそんなに複雑だっただろうか。勉強しなかったから試験に落ちて、オヤジが1年の猶予をくれたから、ラッキーと思いながら予備校通い。落ちたことは自尊心を傷つけられたけど、私には願ってもない一撃だった。原因が分かっているから死のうなんて言う気は起こらない。当然かもしれません。
 思春期の自殺に遭遇したのは、開業してから数年目のことです。中学校頃から喘息治療で知り合い、不登校なども繰り返していた女性です。一時私の務めていた病院に入院したこともあり、ご両親にお話を聴き、家庭内状況や彼女の置かれている立場などもよく存じ上げていた家族です。年令が大きくなるに連れて、喘息の病状も精神的にも落ち着き、たまにしか受診されなくなっていたのですが、死なれる1〜2週間前に突然来られて少しお話をして帰りました。普通と変わりなく見えました。その後の事ですからビックリしました。何らかのメッセージを伝えたかったのでしょうか。何にも出来なかった自分に悔いが残りました。

  自殺を防ぐには

 自殺対策連絡会議:児童・生徒部会として、子ども達の自殺を予防するにはどうしたら良いのでしょうか。まずは、子ども達と関連するすべての部門の大人たち、つまり小中高等学校教師、父兄、スクールカウンセラー、医師などが協力しあって危険性のある子を早く見つけ対応することです。
 更に大事なことは、生まれてくる子、一人一人を愛情深く大事に育てられる環境作りです。生まれてきた子が、生きることが楽しいと感じられる育児環境、学校環境を整備することです。子ども達は、自分という人間が生まれてきて、この世の中で役に立つ存在なのかを確かめながら日々を過ごしているのです。算数の成績は悪くても、「貴方にはこんな良い所があるわよ」という一言を待っているのです。親に愛されていることが、確信出来る言葉や行動を待っているのです。つまり「自分の存在価値」・・これこそが人が生きていくための原動力になっていること、特に思春期の子ども達にとっては生死を分ける大問題であることを肝に銘じて対応策を作らなければなりません。

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