ワクチンで防げる病気=VPD

          (Vaccine Preventable Diseases)

8月号のマンスリーニュースが大変遅れてしまいました。ご免なさい。
 石川県内でも新型インフルエンザがボチボチと報告されています。当院でも、流行中という保育所や学校から受診された患者さんに迅速検査をしてみると、時に 型インフルエンザが陽性に出ます。詳しい検査をしなくても、集団で出ている施設は、すでに調べてあり、新型であることはハッキリしています。かかった子ども達は心配ですが、重症にならずに、ほとんどが軽症で済んでいます。時に、死亡例が報道されていますが、特別な病気がないのに重症になることがあるようです。何がその原因なのか?毎年流行っている季節型でも時に死亡例があるのですから、どう新型と区別出来るのか難しいところです。
 さて、今月のマンスリー・ニュースは、「ワクチンで防げる病気」です。インフルエンザと少し離れますがお付き合いください。

全国版小児科メーリングリストで、東京の中心部で開業されている先生からこんなメールが入りました。

 本日受診したロンドン生まれの赤ちゃん、生後7ヶ月です。
DPT、ヒブ・ワクチン、IPV(不活化ポリオワクチン)を同時接種で3回済み。肺炎球菌ワクチン2回済み。髄膜炎菌髄膜炎ワクチン2回済み。
 「ワクチン代ってかかるの?」と聞いたら、お母さんが??という表情で「ロンドンは、大人も子どもも医療費は無料、もちろんワクチンも無料です。」って。

 なんとうらやましいことでしょう。ワクチンで防げる病気で、人が死んだら、それは交通事故のように思いがけない死と考える事が必要な時代になってきているのです。身近で流行している水ぼうそう(水痘)で考えてみましょう。水痘ワクチンは、日本ではまだ任意接種ですから、1回8000円ほどかかります。ですから、ワクチンを接種する子どもはまだ少ないです。水痘にかかって、普通に経過すれば命にかかわる事もないのですが、まれに脳炎や肺炎を起こして死亡する事もあります。こんな時、日本人は、「お金をかけてでもワクチンを接種しておけば良かったなー。でも、しなかったこちらが悪いんだ。仕方ない。」こんな所でしょうか。でもおかしいです。日本が、経済的に貧困でまったく余裕の無い国なら仕方ないかも知れませんが、借金はあるでしょうが、未開発国にたくさん援助をしている国です。地球上では、先進国の一つと考えられている国なのに、ワクチンで防げる病気で、少子化で数も少ない未来ある子どもの命を盗られてしまってもよいものでしょうか。人間の命を第一に考えた政策が、先進国として行われることが重要課題と思いますがいかがでしょう。私は、イギリスと同じように、医療もワクチンもすべて無料にするべきだと思います。批判する人はどう言うでしょう。「甘やかし過ぎたらダメだ。」こんなところでしょう。でもこの言葉は当たっていません。生まれてきた、人間の基本的な権利として、命を守るということがワクチン接種なのです。そうです。基本的な権利として、ワクチンや医療があるのです。人間の不幸の半分以上は病気が占めているでしょう。その不幸がお金で解決すれば安い物です。災害や交通事故による死亡も、仕方のないものから、やり方によっては防げるものもあるでしょう。ワクチンは、病気による不幸を未然に防ぐ力があるのですから、国が国民を守る方法として積極的に負担無く進める事が重要です。

●ワクチンで防げる病気を、VPD(Vaccine Preventable Diseases)とよびます。

 定期接種として、無料で受けられるワクチンとしては
   ○三種混合(DPT:ジフテリア、百日咳、破傷風)
   ○BCG (結核感染予防)
   ○ポリオ
   ○MR(麻しん風しん混合ワクチン)
 任意接種で、有料で受けられるワクチンとしては
   ○B型肝炎
   ○ヒブ・ワクチン(髄膜炎を起こすインフルエンザ菌ワクチン)
   ○みずぼうそう(水痘ワクチン)
   ○おたふくかぜ(流行性耳下腺炎ワクチン)
 日本に導入されていない子どものワクチンは
   ○小児用肺炎球菌ワクチン
   ○ロタウィルス胃腸炎ワクチン
   ○子宮頸ガンワクチン
   ○IPV(不活化ポリオワクチン)
   ○A型肝炎ワクチン


●予防接種スケジュールのポイントは?
   @受けられる時期が来たら、すぐ受ける。
   A流行している病気、かかったら恐い病気を優先する。
   B効率的・効果的な受け方を考える。
   C同時接種ならスケジュールも簡単。
   D分からないことは早めに相談。
      「どのワクチンを受けるべきか?」
      「どの順番で受ければいい?」
      「アレルギー体質だけど大丈夫?」

詳しくはVPDのホームページを見てね http://www.know-vpd.jp/
    携帯版は・・・・・・・・ http://www.know-vpd.jp/m/  


     
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