新型インフルエンザの現状

 10月も終わり、11月に入ってしまいました。当院の外来は、連日、新型インフルエンザにかかった患者さんと、季節性インフルエンザワクチン接種を希望する人たちでごった返しています。11月1日は日曜当番医でしたが、午前中のみの受付に、69人の患者さんが来られました。多くは新型インフルエンザ疑いの患者さんです。診察が終了したのは、午後3時でした。勿論、昼食を食べる時間もありません。結局、迅速検査を施行した47人のうち、37人の患者さんが、新型インフルエンザ陽性でした。早めに受診した為に陰性あるいは、検査をしなかった患者さんも含めると、8割は新型インフルエンザと関連した受診と思われました。まさに、「新型インフルエンザ外来」でした。
 さて、今月のマンスリーニュースは「新型インフルエンザの現状」と題して「新型インフルエンザ」の真実に迫りましょう。

  新型インフルエンザは恐ろしいのか?

今年4月24日、世界保健機構(WHO)は、アメリカとメキシコで豚インフルエンザが発生し、多数の患者とメキシコでは死者も出ていることが報道されました。「エー、豚なの?」というのが最初の印象でした。「警戒していた鳥ではなく豚。」この豚インフルエンザは、鳥インフルエンザに比べて恐いのか恐くないのか?それが問題でした。メキシコでは60人も死んでいるという報道です。イギリスやアメリカでは、日本よりはるかに大きな流行がありましたが、死亡者数は季節性の冬の流行を上回る程ではなかったようです。
 国立感染症研究所感染症担当者の話では、死亡者の数は季節性と大差は無いが、死亡者の年令が若い方にずれている、つまり、季節性では高齢者や幼児の死亡が多いが、新型では持病のない若者が、ウィルス性肺炎などで死亡しているのが目立つということです。新型インフルエンザの死亡例は、11月3日現在、47名ですが(左のグラフ参照)、年令の幅が広く、3割は持病のない健康な人たちでした。
 県内の病院からの報告では、肺炎で入院する子どもの患者さんが多いようですが、比較的軽症で治っていくとのお話しです。県内での死亡例は、幸いなことにまだ報告されていません。しかし、今後も患者数は増加すると思われ、患者さんが増えれば、重傷者も増える事が予測されます。11月から12月にかけてどの位のピークを迎えるか、犠牲者が出ないことを願いたいです。

2009年第44週(10月26日〜11月1日)のインフルエンザの定点当たり報告数は33.28(患者報告数159,651)となり、前週の値(定点当たり報告数24.62)よりも大きく増加した。定点医療機関からの報告数をもとに、定点以外を含む全国の医療機関を1週間に受診した患者数を推計すると約154万人となり、第28週以降これまでの累積の推計患者数は585万人(95%信頼区間:570.79万人〜599.21万人)である。第44週は、北海道を除くすべての都府県で定点当たり報告数の増加が認められ、都道府県別では愛知県(54.44)、秋田県(53.55)、北海道(49.08)、三重県(46.14)、福岡県(45.64)、宮城県(44.82)、滋賀県(44.42)、兵庫県(42.43)、埼玉県(39.39)、新潟県(39.25)、神奈川県(38.39)、青森県(37.46)、大分県(36.33)、香川県(34.79)、大阪府(34.77)の順となっている。定点当たり報告数は、全ての都道府県で10.00を上回り、21都道府県で30.00以上となっており、全国規模での流行は前週よりもさらに本格化している。
石川県でも、第44週に(33.19)となっている。

2009年度は40週から

急激に増加しています。

Q :季節性のインフルエンザと新型では何が違うのですか?
A:季節性インフルエンザと新型では、人どうしの感染しやすさ、拡がりやすさ、かかりやすい年齢層が違います。

  目次へもどる   次ページへ