食中毒の季節です   

 暖かい季節になってきました。楽しいことも多いですが、季節特有な病気も頭をもたげてきます。今回は、夏に多い食中毒について勉強しましょう。
食中毒も変わってきました
 日本の細菌性食中毒の原因菌としては、これまで腸炎ビブリオが主体で、全体の3割から4割を占めていました。この菌は海中に生存していて、夏になると増加し、魚介類を介して人に感染します。日本人は、刺身が大好きですから当然でした。しかし、最近は魚介類の輸送や管理が進歩したため、次第に減少し1991年には主役の座からしりぞきました。それに変わって、増えてきたのがサルモネラ菌です。1993年の統計でも、サルモネラ菌は40%を越えています。これは世界的な傾向だそうです。
最近のサルモネラ菌食中毒
 サルモネラ菌は、食肉から感染するため欧米では以前から問題になっていました。しかし大きな問題になったのは、鶏卵が原因となったサルモネラ菌食中毒が欧米で多発したためです。調査の結果、サルモネラ菌の一つであるエンテリティディスが鶏卵内に生存していることがはっきりしました。日本でも1989年に鶏卵に関連した食品が原因で、サルモネラ菌食中毒が増加しました。これは、サルモネラ菌に汚染されたヒヨコの輸入によるためと考えられています。1990年には、ブームになったティラミスで、600人以上の食中毒が起きています。
サルモネラ菌食中毒の症状
 症状としては、腹痛にともなう激しい下痢、38℃以上の発熱、さらに頭痛、関節痛、嘔気などです。
サルモネラ菌食中毒を予防するには
 日本で売られている鶏卵の3000から10000個に一つの割でサルモネラ菌に汚染されていると言われます。菌は卵の中で8℃以上で増殖します。買ったらすぐ冷蔵庫に入れましょう。また、出来るだけ熱を加えて食べるようにしましょう。(70℃、1分間の加熱で完全に菌は死滅します。)ゆで卵、温泉卵は大丈夫。
 その他にも、毒素を作る大腸菌やキャンピロバクターなど食中毒を起こす菌は色々です。気をつけようね。


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