親が気になる子供の色々   

 朝晩めっきり冷え込むようになりましたが、風邪ひきに気を付けて下さい。喘息発作も最盛期です。さて、今月のマンスリーニュースは、日頃お母さん方が何かと気にされている症状を話題にしてみたいと思います。
扁桃肥大
 学校の健診で良く付けられる病名ですね。お母さんは「手術して取ったほうが良いでしょうか。」と質問されます。ここで問題となるのは、扁桃腺がその子供にとって有用か、害があるのかということです。扁桃腺は、よく知られているように免疫機能を持っていて7才頃までは活発に働いています。この頃はやや大きめで扁桃肥大と診断されやすいのです。ですから、扁桃肥大と診断されても何も症状がなければ手術する必要はありません。手術を必要とするのは次の三つです。一番目は扁桃が巨大で呼吸がしにくく、いつも口を開けている。また、寝ている時呼吸が止まるなどの症状がある場合です。二番目は、扁桃炎で年に4、5回特に7回以上高熱を出す場合は仕方ないでしょう。三番目は、常に扁桃腺にバイ菌が付いている場合です。この菌が急性腎炎やリウマチ熱の原因になっている時があります。あせらず以上3つの条件を参考に、お医者さんとも相談して対応を決めましょう。
子供の口臭          
 最近、子供の口臭を気にされて受診するお母さんが見受けられます。それも乳幼児なのでこちらもあせってしまいます。大きい子供ならば口内炎や扁桃炎、虫歯などで口臭を感じても普通だと思いますが、乳幼児ではそんなことも少ないと思います。私も匂いには敏感な方ですが、赤ちゃんの口に鼻を近ずけてみてもミルクやお乳の匂いしか感じないことがほとんどです。少しお母さんが子育てに過敏になっているのではないでしょうか。子育ては長期戦です。あまり気を張らずにおおらかな気持ちで赤ちゃんと付き合ってあげて下さい。
乳児の便秘
 母乳栄養の赤ちゃん(生後3ヶ月頃が多い)で「便が一週間も出ない。」と心配されて来られるお母さんが時々おられます。母乳栄養児の便は、当然柔らかいのですが出ないのです。これは、生理的便秘と言われ、母乳の消化が良いために食物の残渣(カス)がたまりにくく便が出ないのです。外来では、他の病気が無いかを確かめるという意味も込めて、小指にワセリンを付けて肛門へ挿入します。この時、肛門の締まりが比較的強い気がします。消化が良いことと肛門の括約筋の関係で便が出にくくなっているのでしょう。しかし、挿入した時にガスや便が噴出するようなら、ヒルシュスプルング病という大腸に神経が欠如している特別な病気を考えなければなりません。
おむつかぶれ       
 おむつかぶれは、尿や便の成分が皮膚に影響して起こります。少し赤くなって「おむつかぶれかな。」と思ったら、こまめにおむつ交換を心がけて下さい。また、交換するときに、気持ちよい温度のお湯でバシャバシャと尿や便を洗い流してあげましょう。セッケンも使って下さい。その後、きれいなタオルでたたくように拭いて乾燥させ、亜鉛華軟膏を薄く塗ります。それでも赤くブチブチとして治りにくいようならカンジダというカビが付いている可能性があります。その時は、カビ用の軟膏がありますからもう一度受診して下さい。何と言ってもおむつかぶれは、予防が肝心。お母さんの排泄に対する心配りに期待します。
紙おむつは良くないの?
 最近は、紙おむつが定着して、布おむつをほとんど見なくなりました。ところで、紙おむつとおむつかぶれとの関係はどうでしょうか。昭和 50 年代から使われだした紙おむつは、高分子吸収体が排泄物の水分を吸収してしまうため肌に対してサラッとした感触をもたらします。おむつかぶれも少ないことになります。当然、お母さんは布おむつよりも長い時間赤ちゃんを放置する事になるでしょう。赤ちゃんと眼を見合わす回数も減るかもしれません。むしろこちらの方が問題です。紙おむつ、布おむつにかかわらず赤ちゃんの排泄に関心を持ってあげて下さい。排便で赤ちゃんがきばっていたら、声をかけて応援してあげてください。とくに便が出たときは、早めに交換した方が(女の子)、便の大腸菌の汚れで起こる膀胱炎を防げます。


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