カンガルー・ケアーとは?

 ついに師走を迎えてしまいました。地球温暖化の影響か、 月になっても暖かな日が時折あります。暖かいに越したことはありませんが、我が家のカメは、冬眠しようかどうか迷っています。やはり、寒いときは寒く、暑いときは暑いのが自然なのでしょうネ。

 さて今月のマンスリーニュースは、耳慣れない言葉かもしれませんがカンガルー・ケアーについてお話します。

  新生児医療の進歩

 カンガルーとは・・そうです・・オーストラリアにいる動物のカンガルーです。お腹にある袋で子育てをするあのカンガルーです。ケアーは、デイ・ケアー・センターのケアー。つまり「世話をする」ということです。医療器械の進歩にはめざましいものがありますが、それは新生児医療についても当てはまります。千グラム以下で生まれても助かる子供たちが増えています。それはそれで意義あることかもしれませんが、保育器に入っている時間が長期になることは避けられません。長期間別れていた我が子を、初めて自分の胸に受け入れた時、その感激はどの親にとっても忘れられないものです。しかし子育ての段階で、保育器に入っていた親子の接触のない期間が、微妙に親子関係に影を落とすということが分かってきました。母親側から見れば、育児に難しさを感じやすかったり、拒否的な態度をとってしまうなど、また子供側から見れば、親に応える感じで精神的に安定を得られず多動や学習の障害などを認めやすいことです。

  カンガルー・ケアーの始まり

 1979年、南米コロンビアのボコダで保育器が足りないために始められました。生後数日の未熟児をオムツをつけただけで母親の裸の胸に立位で抱いて、肌と肌を接触させ、その上に毛布などでおおって育てました。すると、赤ちゃんの体温や呼吸が安定して感染までも減る、さらに母親の養育拒否も少なくなることが分かったのです。

 日本小児科学会誌に報告された聖マリアンナ医大の結果では、母親と接触しているときは、グッスリと眠りにつく子が多くなり、ぐずって泣くことが少なくなるということです。またその時の血液中の酸素濃度も変動が少なくなり呼吸や血液循環が安定していることが示されました。育児において肌と肌の触れあいがいかに大事かを物語っています。さらに、母親の子供に接する態度の評価でも親密感が増したとのことです。

 医療は技術的に日々高度化されています。しかしそれが人間の健康生活をすべての面でいい方向に導いているとは限らないことを示しています。得られた技術をどう使うか、それが医療に限らず、すべての分野で求められているのだと思います。

  診療予約制導入5ヶ月

 診療予約制を導入して5ヶ月余りが経過しました。初めは、患者さんの順番が不公平になるのではと、心配しましたが、次第に落ち着いてきたように思います。「後からきて先に見てもらった」など不満に感じられた時もあったと思います。しかし、最終的には出来るだけ患者さんの来院時間を分散させて、待ち時間を短縮して、他の病気をもらう機会も減らしたいという思いからであることを、理解していただきたいと思います。また、風邪が流行したときは待ち時間がどうしても長くなって( 30分以上)、予約してもしなくても一緒じゃないかと思われるかもしれませんが、当方から見ると効果は出ていると思います。今後とも予約制を宜しくお願いいたします。


           年末年始診療のお知らせ

  年末は、12月30日(火)午前中まで診療いたします。            年始は、1月5日(月)から平常どうり診療いたします。    なお、休み中は在宅時は、時間外診療をいたしますから           心配なときはお電話してください。


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