手足口病あなどれずの情報

 今年は夏が早く来るのでしょうか。そして、短い夏で終わってしまうのでしょうか。‥‥‥「梅雨明け」もまだというのに時に真夏のようでそうでない、中途半端な日々が続いています。その影響か、子供達はすでに夏風邪と言われるヘルパンギーナや手足口病の洗礼を受けています。また、6月の末には、風邪から無菌性髄膜炎を起こす子供が4人ほどたて続けに来院しました。何かおかしい今日この頃です。     さて、今回は手足口病について気になる情報をお届けします。

  手足口病で死亡例

 最近の朝日新聞紙上で、昨年夏大阪市内で手足口病にかかった乳幼児二人が、死亡していたことが報道されました。乳幼児がよく感染する手足口病は、手のひら、足の裏、口の中、時にはお尻や肘、膝に細かい水疱が出る診断しやすい病気ですが、これまでは四、五日から一週間ほどで水疱もしぼんで何もなく終わる、大したことのない病気の代名詞でした。たまには、高い熱が出たり、まれに無菌性髄膜炎を起こすことは知られていましたが、死亡するようなことはないというのが一般的でした。 新聞によると死亡した二人は、発病後数日で病状が急変し、大阪市にある総合医療センターに転送されたものの呼吸困難で死亡しました。また、この二人とは別に、発熱して同センターに運び込まれ、多臓器不全で死亡した乳児からは、手足口病の原因ウィルスの一つであるエンテロウィルス71が見つかりました。三人の経過を見ると、急変から一日以内に死亡しており、脳幹脳炎が考えられるということです。

  これまでの報告

日本における手足口病流行に伴って中枢神経の合併症を起こしたという報告は、一九七三年の岐阜の報告を初めとして、七八年の長崎、愛媛の報告、更に九0年の福岡、新潟、秋田、九三年の富山、愛媛、神奈川と報告が増加しています。これらの患者さんの中枢神経症状は、手がふるえたり、歩くとふらふらしたり、しゃべりにくいというような小脳症状が多いのが特徴です。中には、髄膜炎だけ、あるいは意識障害が出る脳炎も報告されています。しかし、大阪で見られたような急な経過で死亡した例はこれまで報告されていません。

 昨年、マレーシアでは、手足口病が流行した際に乳幼児数十人が死亡、これまでと遺伝子配列が一部異なるウィルスが見つかっています。大阪で流行したウィルスを国立感染症研究所で分析したところ、マレーシアで死亡した乳児の一部から分離されたものと遺伝子配列が似ており、これまで知られていたエンテロウィルス71とは違うタイプでした。                                  どこかで聞いたような話ですが、香港の強いインフルエンザウィルス同様、手足口病のウィルスも自らを変貌させながら生き延びているのでしょう。ちなみに、このウィルスは名古屋市でも見つかったそうですが、患者さんの症状は軽症でした。現状ではそれほど神経質になることはないと思いますが、少し頭の中に入れておく必要はあるでしょう。


         予約制開始一周年(一年生)

 当院が予約診療を開始して早一年が経過しました。初めのうちは、患者さんにご迷惑をかけるのではないか、不公平になるのではないかなど色々思いを巡らして落ち込むこともありました。しかし、スタッフもなれ、患者さんもなれるにつれて、予約されて来院される方も徐々に増え、どうにか軌道に乗ってきたようです。現在は、約6割から7割の方が予約されています。一度に待合室が埋まる(たまにでしたが)こともなく新しい病気をもらう機会も減っていると思います。待ち時間も、風邪が流行っているときでも30分は短縮されたと感じています。                今後とも予約制診療を宜しくお願いいたします。なお、緊急の時は、予約が必要ないことはこれまでどうりです。


お知らせ

きたる、7月18日(土曜日)

は、院長がラテックスアレルギー研究会出席のため、金大小児科より

代診の先生が来られますのでご了承ください。


    

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