卵によるサルモネラ食中毒発生防止
去る七月二十一日厚生省は、「卵によるサルモネラ食中毒の発生防止について」と題して食品衛生調査会から報告があったことを発表しました。テレビでも報道されましたから見た方もあると思います。食中毒というとO―157で病原性大腸菌が有名ですが、どうしてどうしてサルモネラ・エンテリティディスも頑張っています。それも身近な食材である鶏卵から感染するのですから重大です。子供達が安心して卵を食べられるよう知識を再確認しましょう。
また、厚生省発表の「卵の衛生的な取り扱いについて」を載せましたので参考にして下さい。
サルモネラ食中毒のおさらい
平成六年六月号の当院のマンスリーニュースでも、サルモネラによる食中毒が増えていることを取り上げ、それがサルモネラ菌に汚染されたヒヨコの輸入によるらしいことや、1990年にはブームになったティラミスで600以上の食中毒が出たことをお知らせしました。また予防として、買った卵は冷蔵庫で保管すること、熱を加えて食べることも述べました。しかし、私もついつい承知で「すき焼きに生卵」は、止められません。
ちょっとした油断からサルモネラ食中毒を起こしたときは潜伏期8〜24時間で、腹痛にともなう激しい下痢(軟便、水様便、粘血便といろいろ)、38度以上の発熱、さらに頭痛、関節痛、嘔気などの症状が出現します。 症状は人によってさまざまですが、新生児や乳幼児が感染すると敗血症など重症化する事もあるので注意が必要です。
家庭における卵の衛生的な取扱いについて
(厚生省ホームページより)
卵は、良質のたんぱく質が多く、また、ビタミン、ミネラル等の各種の栄養素が含まれ、栄養価の高い食品で、我々の健康の維持・増進に大きく貢献しています。 一方、栄養価が高いということは、その取扱いが悪ければ、食中毒を起こす細菌にとっても、自分を増殖させるための良好な環境となります。 このため、厚生省では、卵によるサルモネラ等の食中毒を防止するため、生産から消費にいたるまで、卵を取扱う全ての人を対象とした総合的な衛生対策を推し進めることとしています。
この「家庭における卵の衛生的な取扱いについて」も、その一環として作成したもので、家庭で卵を取扱う際に注意していただきたいポイントをまとめたものです。 ここに示されたポイントをしっかり守っていただき、これまでどおり安心して卵料理を召し上がって下さい。
ポイント1 食品の購入
○ 卵はきれいで、ひび割れのない、新鮮なものを購入しましょう。
[参考] 卵を割って平らな皿の上に中身を置いた時、古い卵ほど、黄身は平らになり、白身は薄くなります。
○ 産卵日や包装日、期限表示がなされている卵は、日付を確認して購入しましょう。
ポイント2 家庭での保存
○ 持ち帰った卵は、すぐに冷蔵庫に入れましょう。
○ 持ち帰ってから、期限表示のある卵は期限表示内に消費しましょう。
また、期限表示のない卵は、産卵日や包装日等を確認してできるだけ早く消費するよう心がけましょう。
○ 卵の保管は、10℃以下がめやすです。温度計を使って温度を計ると、より庫内温度の管理が正確になります。
ポイント3 下準備 ○ 卵や卵の中身を入れたボウル等の容器・器具は使用した後よく洗うようにしましょう。洗ってから、熱湯をかけると安心です。
○ 卵は、料理に使う分だけ、使う直前に割って、すぐに 調理しましょう。決して割ったままの状態で放置してはいけません。割卵した卵を放置すると、細菌が増殖しやすくなり、危険です。
ポイント4 調理
○ カスタードの加熱のめやすは金属製のスプーンでかき回した時、スプーンにカスタードの薄い膜がつくまでです。
○ ゆで卵は、沸騰水で5分間以上加熱しましょう。
○ 自家製マヨネーズは材料の卵を加熱しないで使用することから、これまでいくつかの事故例が報告されています。従って、自家製マヨネーズを作る場合はひび割れ卵(殻にひびのある卵)は使用せず、作ったらすぐに使い切るようにしましょう。
○料理を途中でやめてそのまま室温に放置すると、細菌が食品についたり、増えたりします。途中でやめるような時は、冷蔵庫に入れましょう。再び、調理をするときは、もう一度、十分加熱しましょう。
○十分加熱して調理する場合のめやすは、卵黄も白身もかたくなるまで加熱することです。
ポイント5 食事
○ 卵かけご飯、すき焼き、納豆など、卵を生で食べる場合には、破卵(殻が割れている卵)やひび割れ卵(殻にひびがある卵)は使用せず、食べる直前に殻を割るようにしましょう。
○ 温かく食べる料理は、常に温かく、冷やして食べる料理は、常に冷たくしておきましょう。めやすは、温かい料理は、65℃以上、冷やして食べる料理は10℃以下です。
○十分に加熱しない卵料理は、調理が始まってから2時間以内に食べましょう。また、加熱調理を行った卵料理についても、なるべくはやく消 費しましょう。
○ 老人、2歳以下の乳幼児、妊娠中の女性、免疫機能が低下している人等に対しては、生卵(うずらの卵を含む。)は避け、できる限り、十分加熱した卵料理を提供してください。
ポイント6 残った食品
○ 残った卵料理は、時間が経ち過ぎたら、思い切って捨てましょう。