病児保育施設について

 朝夕の冷え込みが、厳しくなりました。でも、例年に比べるとずいぶん暖かですね。そのせいか山のキノコが少ないという話を山好きの人から聞きました。
 水疱瘡やお腹につく風邪が、少し流行っています。また、喘息発作もやや多い印象です。何年かぶりに発作を起こした子供さんもいます。人間の健康は、明らかに四季の変化に影響されています。衣替えをして、厳しい冬に備えてください。
 さて、今月のマンスリーニュースは「病児保育」について考えてみたいと思います。

  病児保育施設とは?

 普通の保育所では預かってくれない、病気の子供の面倒をみてくれる施設のことを言います。 国のエンゼルプランの一環として、1995年度から始まった緊急保育対策事業の中で補助金の対象になっています。病気の子供を預かるのですから病院や乳児院などに併設された施設で子供一人につき看護婦や保育者を二人配置する事などが基準になっています。
 急に子供が発熱した、しかし、どうしても勤務を休むわけにはいかない・・・というときに一日二千円程で預かってくれます。核家族で、近くに子供を預ける祖父母のいない働く夫婦にとっては大変便利な施設です。
 97年度が全国で63カ所、98年度が84カ所、今年度が6月の時点で約110カ所と国の目標である450カ所の4分の1にとどまっています。県によっては1カ所も無いところもあります。

  石川県の病児保育施設

 石川県の施設はどうかと思い県庁に問い合わせてみました。厚生部の子育て支援課の方が、県では「病児保育」ではなく「病後児一時保育」というのだそうです。少し考え方が違うようです。病気は回復したが、まだ保育園に行くには早いなと言う場合に預かってくれるということだと思います。石川県内に6カ所登録されていました。松任市では、林中保育園(今平町142 電話276-2140)だけがやっています。費用は一日当たり、1000円から1500円です。
 石川県の「病後児一時保育」も、次第に「病児保育」へと進んで行くでしょう。親との同居家族も減る傾向ですから、仕事を休めない親は、病気になっても保育所を頼らざるを得ないのです。松任市は、まだ同居家族が多い方かもしれません。診察にお祖父ちゃんやお祖母ちゃんが連れてこられることも多々見受けます。しかし、この光景も減って行くでしょう。

  病児保育に期待すること

「外来小児科学研究会」という主に小児科の開業医が集う会があります。インターネットを通じて、小児科に関するいろいろな話題を大変活発に議論しています。小児科医で自分の医院に併設して病児保育をされている先生もいます。子育てに大変な家族にとって、その存在は貴重です。大変感謝されているというお話も納得がいきます。しかし、子供にとって、この制度はどうなのかと疑問を投げかける先生もいます。疑問を投げる先生は、子供の精神的な発達に影響がないかを心配されています。この心配も小児科医なら誰でも感じていると思います。国が推進するこの計画は、社会の現状にとって必要な事業に違いありません。特にこの不況で収入が減るなか、家族は必死で共稼ぎをせざるをえないのですから。
 小児科医はみな考えています。不況が解消して、家族の生活が楽になれば、病気の時はお母さんが「子供病気休暇」を気兼ねなく取って、付きっきりで看病するのが当たり前になるように。子育ての喜びを、子供が高熱に苦しんでいるのが次第に良くなっていく経過の中で感じてもらえるように。病児保育が当たり前の世の中にならないように。
 小渕様へ・・・子供達は日本の未来を担っています。社会のしわ寄せが弱い立場の母親や子供達に寄らないようお願いいたします。子供が病気の時ぐらいお母さんが一生懸命面倒をみれる制度を作ってください。

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