水痘(みずぼうそう)について
水痘(みずぽうそう)は、水痘へルペスウイルスでおこる全身の皮膚や粘膜に水胞を伴う発疹が出現する病気です。
全年令で認めますが、5才から9才がかかりやすい年令です。もちろん新生児でもかかります。大体10才までには、子供の90%がかかり終えると言われています。
ウイルスが、身体に入って症状が出るまで(潜伏期)に、約2週間かかります。他の人にうつるのは、発疹の出る24時間前から水胞が全部、かさぷたになるまで、約一週間です。
うつる経路として、水胞と直接接触するだけでなく、空気伝染でもうつります。
発疹は、身体の中心部(腹、胸や背中)から出て、顔から頭、手足へと拡がります。かゆさを伴うのが普通です。赤い発疹は真ん中に水胞を持つようになり、一日たつと自く濁ってきます。そして、数日で破れ、かさぷたになります。

他の症状としては、発熱やだるさ、食欲不振などです。発疹が現われる部位は全身ですが、意外な場所として、口の中や頭、眼球にも見られます。発疹の数は、数個から数百と人によって違います。
熱も出ず数個で終わった人は、大人になっても、母親に「あなたは、まだ、みずぼうそうにかかっていないのよ。」と言われるでしょう。(血液を調ぺると、昔かかったかどうか分かります。)

水痘の合併症として一番多いのは、発疹をかいたために細菌がはいり、化膿することです。
爪を切って、手はきれいに洗っておきましょう。また、入浴は禁止という訳ではありませんから、状態が良ければ入れてあげてください。その時、手に石鹸を付けてやさしく洗ってあげましょう。皮膚の細菌感染を防げます。
まれに、肺炎(子供ではまれです。)や脳炎などをおこし、死亡したり後遺症を残すこともあります。

治療は、症状に応じて行ないます。
かゆみには、カチリという塗りぐすりを、発疹の上に盛るように塗り付けます。非ステロイド軟膏を使うこともあります。また、飲み薬として、かゆみをおさえる抗ヒスタミン剤などを処方します。
化膿した時は、抗生物質を飲ませます。最近では、重症化を防ぐためにアシクロビル(商品名:ゾビラックス)という抗ウィルス剤を服用することが一般的になっています。

水痘の予防には、水痘生ワクチンが有効です。予防率は90%です。つまり、10人のうち1人は効果のない場合があります。
以前、白血病の治療をしていると抗ガン剤のために免疫が落ちるので、水痘にかかると死亡する場合がよくありました。ワクチンが出来てから死亡も少なくなりましたが、そのワクチンを普通の子供でも使えるようになっています。8000円と高めですが、接種する子供が増えています。
1才の誕生日に、健康の贈り物として水痘ワクチンを!
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