保険医協会理事就任にあたって ~子どもは未来~
2015/05/19
子どもを通して社会を見ているのが小児科医である。外来診療や乳幼児の健診をから子どもの生活が見えてくる。
下着や肌が汚れたままの子ども、祖父母が連れて受診し症状や経過が分からない子ども「今朝、急に病院に連れてってと頼まれたんや、同居してないから。」「お前、いつから熱あるんや?」、熱や咳が続き酷くなってから受診する子ども・・・
昨年7月、厚労省より発表された「子どもの貧困率」は、16.3%(6人に1人が貧困状態)と高値を更新した。

戦後70年日本の現状は、社会的弱者である母子にしわ寄せを強いている。母子密着の必要な時期に、それが成されていない。母親の子どもに注ぐべきエネルギーを社会が横取りしている。
子どもを預かることが子育て支援か?母子ともに誠意が伝わる経済的にも時間的にも余裕を持った環境で育てる事こそ子育て支援と言える。また子どもを育てる事は、社会的な仕事と同等あるいはそれ以上に重要な仕事であることを認識すべきである。愛情深く円満な普通の大人は、親の愛と社会の愛が十分伝わった状況で育てられた結果であるからだ。
新聞紙上を賑わす犯罪の低年齢化は、降って湧いた事件ではなく、地中に伸びた確かな根っこがある。

子どもは未来である。また子どもを育てる楽しみが、最高の少子化対策でもある。
経済大国日本。技術大国日本。そして人間大国日本。
目指すは、経済も技術も人間性もそれなりに重要視する国作りだ。
人間を作るにもお金はかかる。せめてOECD諸国でも低迷を抜け出し、上位をねらって頂きたい。

院長のひとりごと