新エンゼルプランから

 朝夕は少し過ごしやすくなりましたが、今年の夏は、いつにない猛暑が続いています。これも地球温暖化の影響なのでしょうか。次第に北極や南極の氷が溶けて、地球の陸地が減ってゆく。海抜の低い所にある町や村、そして大都会さえ海底へ埋没していく・・昔見た 小説が現実の世界でも迫って来ているのでしょうか。人類が生き延びるためには、排気ガス問題、ゴミ問題、自然破壊問題など少しずつでも解決していかないといけないのでしょうね。
 さて、今月のマンスリーニュースはもっと身近な子育て・少子化問題を、厚生省の「新エンゼルプラン」を基に考えてみましょう。

 新エンゼルプラン

平成11年1月のマンスリーニュースで、エンゼルプランについてお話しました。その時、私は保育所を充実することだけが現在の子育てに重要なのかと疑問を投げかけました。
 厚生省は、平成11年12月19日付けで、「新エンゼルプラン」を発表し、更なる育児環境の充実を謳っています。よく読んでみると、現在の育児環境を是正すべく、多くの政策が盛り込まれています。全文は、別冊として付けましたのでお読みください。(インターネットをやっておられる方は、厚生省のホームページに入ると読めます。)
 新エンゼルプランのいくつかの特徴的なところを抜き出してみましょう。
 まず、最優先として掲げられているのは低年齢児の受け入れ枠拡大と種々保育サービス(延長保育、休日保育、健康支援一時預かり、多機能保育)の充実ということでしょう。働きながら子育てをするには、どうしても必要なことです。更に、重要な問題として「仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備」という項目が加わりました。私は、一労働力として母親(あるいは父親)の子育ての余裕を奪う仕事環境は避けるべきであると考えていましたが、この文章を読む限り良い方向へ向かおうとしていることは理解できます。
 「育児休業を取りやすく、職場復帰をしやすい環境の整備」・・・この項目の中で、育児休業がたやすくとれ、かつ、たやすく復帰出来るような労働環境の整備を目指すことが明示されています。これは大変重要なことですが、現状は十分とはいえません。育児をする立場にある労働者は、野球で言えば二軍扱いというのが普通です。
「子育てのための時間確保の推進など子育てをしながら働き続けることの出来る環境の整備」・・・産休が終わって、仕事に行きだしてからも保育所の行事や、子供が病気で早退するのは相当気を遣う行動です。厚生省の希望する子育てと職場の現実は、明示したからといって、そう易々と実行できるものではないでしょう。早く会社と話してネ!

 子育てと少子化

 人類はこの地球上に出現して以来、絶滅せずにどうにか生き延びて来ました。それは子孫を絶やさずに引き継いで来られたからです。ところで、日本は現在少子化の波に手をこまねいています。逆に人工の多すぎる中国では、一人っ子政策がとられました。少子化は近代化された国々共通の悩みのようです。
 人類が生き延びるためには、子供たちの活躍が絶対に必要なのに、子供を欲しがらない夫婦や1人で十分という夫婦が増えています。戦争中は、戦うために生めよ増やせよという時代もありました。しかし、それは忘れてはいけない悲劇です。未来を担う子供たちを自然に増やすにはどうしたらいいのでしょう。子育てに悩む親が多ければ多いほど議論も煮詰まるでしょうし・・・・

 少子化対策はお金?

 人間はバースコントロール(避妊)が可能になったために、少子化が問題になって来たのでしょうか。近代化された国々がそろって悩んでいるということは、それも一因かもしれません。また、経済的に豊かになっているにも関わらず何人も進学させるのは大変だという意見も耳にします。だからといって、「大学まで国が金を出しましょう。」と言ったら子供は増えるのでしょうか。これも違うような気がします。
 私の考えでは、今生きている人たちが、人間として充実し、感動に満ち、人に愛を感じられる生活をしているかが問題なのだと思います。親が、俺の人生はマーマーだったと思えることが初まりです。生まれた人間が、点数で評価されるのではなく、その実力に応じた生活がためらいなく選べることが大事です。「子育てが、職業と同じように重要だ。」という考え方が当たり前の社会が大事です。17才の爆発も突然ではありません。それなりの理由があるのです。地球上は、人間の進化にも関わらず不治の病も戦争もまだまだ豊富です。新しい人間が新しい考えで、解決して行かなくてはならない問題が沢山あるのですから。

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