子育ては損か?

 2001年の幕が切って落とされました。新しい世紀の始まりです。この100年がどんな歴史をたどるのか、全部を見届けることは出来ませんが、20世紀の反省を込めた世紀であってほしいと思います。
 地球上にまだ、戦争と飢餓が渦巻いている以上、まずは地球と地球に棲む生物が、環境を守りながら平穏な生活を得られるような努力が必要でしょう。そして、次は地球規模から宇宙へと大きな考え方に立って進んで行くのでしょうか。「うーん、すごい。将来は火星に移住なんてね。」出来たら200年後位に生まれてみたいな。
 さて、新しい年の第1号マンスリーニュースは、21世紀の大問題、少子化についての話題をお届けします。

 子どもが少ない社会

 日本では、子どもが少ない社会がやってきています。いろいろ理由はあるでしょうが、要は子育てが楽しくないと感じる時代なのでしょうか。最近、「子育ては損か?」という雑誌の問いかけに対して、その雑誌社にたくさんの意見が殺到したそうです。「損か、損じゃないか。」多くの意見を総合してみると、「損だ」と答えた中で、「条件や環境が改善されたら、もっと子どもが欲しい」「子どもを産んでよかった」と書いた人がいずれも7割、「産まない方がよかった」という人はゼロだった。多くの人が、子どものいる喜びや充実感をつづっていて、そこだけ読むと、その人が「損」と感じているとはとても思えないほどだ。まして「得するなら育てる」と主張する人など一人もいなかった。

 環境が良ければもっと欲しい

 子育てが楽しくないのは、子どもを育てる環境が整備されてないからというお母さんの意見には、もっと耳を貸さないといけないと思います。「子育てが楽しくない」という立場の34才女性の意見をご紹介します。

 子どもなんて要らないです。本音は。女性は、なにより自分の時間と自由を奪われます。お金もかかります。稼いでも、保育園や子どものために消えていく。貯金もなかなかできません。決して口には出さないし、こういう場で発言もしないけれど、「子育ては損だ」と思っている人は実はもっともっとたくさんいると思います。そんな現実、わたしは当然だと思います。だって、ほんとうに楽しくないんです。子育てなんて。改善する策は、わかりません。子育てビジネスが充実すればいいのかしら。わたしの場合は子どもと接するのがイヤなんじゃなくて家事がサボれないのが苦痛。だから、料理や掃除をしてくれる人をもっと簡単に頼めたり補助があったりしたら、イヤだイヤだという気持ちは軽減するかもしれません。それと、もっと企業が「父親」を家庭に帰りやすくする制度を作らないとダメだと思います。わたしの場合、ぜったいに夫の協力は得られません。ゼッタイに・・・。そんな「わたしばかり」という意識が「損」という感覚に発展するんだと思います。少子化はまずいことらしいとはわかっていますが、産みたい人だけ産んでください、っていうのが正直な気持ちです。「子育ては損だなんてけしからん」という人がせっせと産んでくれればいいんです。

 このお母さんのせっぱ詰まった状況が浮かんできます。大変な環境でも一生懸命やっているからこんな不満が出てくるのではないでしょうか。お母さんの本心は、もっと余裕を持って子育てを自分の手で楽しみたいのだと思います。違うかな?
 反対に「子育てが損だなんて」というまじめな意見もご紹介します。

 子育てが損得で考えなければならないほど社会環境が悪化していることにショックをうけました。子育てを損と考えるのなら産んではいけません。産んだ子どもに失礼です。自分が自分の意志で産むのですから、産んだ後いろいろあっても、それは産んだ自分の責任。大人なら責任はとるべきです。責任がとれなくて、子育てが損とか文句をいうなんて大人として失格です。子育ては本来、たいへんで当たり前。一人の人間を育てるのが簡単なはずはないし、相手は一個の人格、こちらの思い通りにはいかなくて当然。それを知力、体力、気力で、育てていくのです。親の生きる姿、子育ての仕方は、子どもにとってのモデルです。自分ががんばらないと、当然、子どもが大人になって子育てするとき、同じミスを犯しやすい。損と感じていたら、そうやって育てられた子も、子育てを損と考える価値観を持ちますよ。虐待が連鎖するのと同じ構造です。ただ、損と感じる人だけを責めても、なんの解決にもならないので、やはり、社会全体がもう少し温かい配慮と理解をしなければならないのではないでしょうか。少子化は日本の根底を揺るがす大問題。少子化がすすめば当然高齢化率はあがります。それとともに労働力人口は激減します。皆、まだ気づいていないけど、子どもを産んで頑張っている人を本気で支援しないと、2025年高齢者が人口の3割近くを占めたとき日本はどんなことになっているやら。高齢化ばかりクローズアップされるけど、実は少子化と高齢化の問題はセットなのですよ。

こんな感じでなんと2118人の読者からメールがあったそうです。皆さんのご意見は?
 今月のマンスリーニュースは、たくさん引用させていただいて楽でした。まだ正月気分が抜けないようで。
    参考文献:臨時増刊アエラ No.53
12/15号 朝日新聞社

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