赤ちゃん誕生

  あけましておめでとうございます

 2003年、新しい年が始まりました。世の中は未だに景気回復の兆しが見えないまま経過しています。
昨年1月のマンスリーニュースは、「三方一両損」「米百俵」の例えを話題にした財政改革、医療改革のお話でした。あれから1年。本当に速いものです。4月からは保健本人が3割負担となり、また患者負担が増えます。「三方一両損」と言いながら、市民ばかりにしわ寄せがよる政策は容認できません。
 さて、新年のマンスリーニュースはもっとフレッシュな話題で行きましょう。

  赤ちゃん誕生

 1年程前から近くに開業された産婦人科医院の乳児健診に行っています。新生児と1ヶ月検診を受け持っていますが、時には出来たてホヤホヤの赤ちゃんを診察することもあります。これほど感動的なシーンはありません。問題なく明らかに健康そうな赤ちゃん。声高らかに全身の力を込めて泣きじゃくる赤ちゃん。「呼吸音は大丈夫?」「心音は?」「肝臓は腫れてない?」「身体の緊張状態は?」「反射はちゃんと出るかな?」
 「うーん。大丈夫だな。」
 心配そうなお母さんに「元気だね。」と言ってあげると安心したという表情で満足されます。こちらも第一関門通過という感じです。
 小児科医として、1年目に赴任した福井の病院で新生児と初めて出会いました。この時、新生児医療が肉体的にも精神的にもいかに大変かを身をもって体験しました。1000グラムにも満たない赤ちゃんが何事もなく元気に退院したときは、本当に嬉しかった思い出があります。しかし、時には呼吸や肺が未熟だったり、黄疸が強すぎたりと色々な問題を抱えた赤ちゃんにも遭遇しました。後遺症が明らかに残るだろうと思われたときは本当に悲しい思いでした。

  赤ちゃん誕生そして、その後

 少子化の叫ばれる今日この頃ですが、子ども達はこの世の中に期待を込めて確実に生まれて来ています。景気が良かろうが悪かろうが、新しく生まれる命に責任ある体制を作ることがまず優先されるべきでしょう。現在のように生後3ヶ月から保育所に預けてしまい、母親が余裕を持って育児に参加できない体制は明らかに間違っています。子育てに手抜きは禁物です。生まれてからの親とのつながりの中で心と身体が育っていくのです。また、親も手のかかる子育てを実感しながら子どもへの愛を育て、親として成長して行くのです。子どもを預かることが子育て支援ではありません。親と子が余裕を持って接する時間を確保することが本当の子育て支援です。
 「子育て中の親子に社会の優しさを!」・・・今年も叫ぶぞ1年間。

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