「ちから」をぬく

 随分前の事ですが、地球上の力(ちから)関係はアメリカとソ連という2大国によって保たれていました。あわや第3次世界戦争かという危険な時期もありましたが、どうにか小競り合いぐらいで済んで現在に至っています。現在の地球上の力関係はどうでしょうか。昔のように単純ではありません。正直言って複雑怪奇で、普通頭の私には理解できない状況です。日本の自衛隊が復興支援と言いながら、いつの間にか小競り合いに巻き込まれていきそうな状況です。アメリカがフセイン大統領を捕まえれば平和になるのか、と思っていたら大きな間違いでした。大きな力で押さえ込もうとしても、どこかに無理があるんですね。その反動がテロという無差別な暴力を生み出し、さらにテロを抑えるために容疑者を大勢刑務所に捕まえざるをえなくなっています。どこまで行ったら平和が見えるのでしょうか。その間に、たくさんの未来ある子ども達が犠牲になっています。また、命を落とさないまでも、大切な物を奪われた体験が心に深く憎しみの傷跡を残しています。その憎しみは、新たなテロの原動力になるのでしょう。ああー!神さま!仏様!キリスト様!マホメット様!地球に向かって叫んでください。『兵士達よ。「ちから」をぬけー。』「ちから」がぬけたら武器が持てなくなるでしょ。花束くらいは持てるかー。花束を投げ合って戦争しましょ。花束を投げつけられたら、どの国の兵士達も幸せな気分になれますー。その間に、憎しみがチョウチョウの様に空に飛んで行ってしまったら戦争もおしまいだよー・・・・
 パソコンを打ちながら夢の中に突入していたようです。前書きをこんなに長く書くつもりはなかったのに。さて、今月のマンスリーニュースは、『「ちから」をぬく』事について考えてみたいと思います。

  「ちから」をぬく その2

 今年も何回かゴルフに行きました。「戦争している国もあるのにゴルフなんかしてても良いのかな。」とも、たまに思いますがしています。うまいからしているわけでもないように思います。医師会の競技会では常に成績は半分以下、最近は他の人がうまくなったり、下手な人が参加しなくなったりで、最下位周辺をうろついています。それでもしつこく参加しています。ビリは賞品が当たりませんが、ビリから2番目は賞品が当たります。かの有名なブービー賞というやつです。最近、2回続けてブービー賞をもらいました。シングルの人(うまいと認められた人)が、この賞をもらったらその夜は寝られないでしょう。下手をすれば死にたくなるかもしれません。私の場合は逆です。ビリになったこともあるので、ブービー賞は不名誉な顔をしながら、内心何となくこころが温かなのです。温かなのは何故なのかなーと思いますが、後に最下位の人がいてくれるからでしょうか。あー、何と小さな幸せでしょう。最下位の人には、優越感なんてありません。次回は逆の立場かもしれないので、感謝の気持ちで一杯です。家族にはブービーの賞品をあまり見せたくないと思うのですが、果物が箱一杯だとそうもいきません。居間の食卓机にそっと置いておきます。家族も何も言いません。「何と思いやりの深い家族だろう。」と私は思っています。
 こんな私にも夢があります。もちろん優勝です。「やっぱり優勝したいんだ。」そうです。しつこく参加している理由は「いつの日か」という事なんですね。その為にはどうしたら良いか。うーん、やはり「ちから」をぬくことでしょう。先日も、競技会の反省会で私より年上の先生が「つい、ちからが入ってしまう。人に勝ちたいというスケベごころだなー。」と、加えて「年行ってもそういう気持ちがあるのは若いってことか。」と言われました。どちらを取るべきなんでしょう。でも、目的達成のためにはスケベごころを振り払って、「ちから」のぬけた、自然の力に逆らわないスイングが必要です。
 10年計画、「ちから」をぬいて楽しみながら頑張るぞー。    (影の声:もう手遅れじゃないの)

  「ちから」をぬく その3

 生後数時間の赤ちゃん。診察をしていると小児科医としての幸せ感が込み上げてきます。横で見ているお母さんの心配そうな顔。「初めての子どもさんなんだな」というサインが伝わってきます。一言「元気だね。」少し落ち着いたところで「心臓に雑音もないし、表情や身体の緊張も異常ないね。」さらにお母さんの顔が安心したようです。そこで「何か心配なことある。」と質問します。お母さんはビックリしたように考え込んで、小首をかたげます。「生まれたばっかりだからね。」と言うとお母さんに笑顔が戻りました。
 自分の子どもとの初めての出会い。たくさんの心配事。そして、少しずつお母さんになっていく過程。どれもこれも過ぎ去ってしまえば大したことではなかったように思えますが、子育て新米見習い中のお母さんにとってはすべての出来事が初めてです。核家族になってお婆ちゃんからの子育て知識も少なくなりました。でもお婆ちゃんの昔の知識が新しい子育てに燃えているお母さんにとっては、耳障りだと聞こえるかもしれません。その辺はなかなか複雑です。最近は、子育て支援センターも各所に作られ、お母さんの情報網も拡がってきています。インターネットを介する子育て支援ホームページの役割も大きいです。いろいろな所からいろいろな知識が入ってきて、逆にかえって混乱してしまうことがあるかも知れません。
 「子どもを育てながら、親も育つ」とよく言われます。本当にそうかもしれません。赤ちゃんも一人の人間です。初めは泣くだけの自己主張。しだいに行動や言葉で自己主張。3才ともなれば、自分勝手で手のかかること。「でも愛しているよ」と寝顔を見ながら思う。仕事に疲れて家に帰ったら、まとわりつく子ども。でも嫌いなんて言わないで。時期が来ると自然に離れていきますよ。手のかかった子どもほど落ち着いて行きますよ。
 そう「ちから」をぬいて見つめてあげて。あなたは、私の大事な宝です。あなたの道はあなたが見つけてね。親はそのお手伝いをするだけ・・・こんな感じです。(アドバイスになったかなー)

      目次へもどる    次ページへ