「プール熱」ってなに?

 梅雨明けもハッキリしないまま、34度を超える日々が続いています。しかし、時に集中豪雨。先日は、金沢の繁華街では床下浸水もありました。気象予報士泣かせの今年の気候です。
 11日は選挙に行って来ました。雨が止んだので出足も良かったようです。誰が選ばれるかによって世の中が変わるんですから恐ろしいです。医院の窓口で支払う金額も違ってきます。本当は乳幼児が受診したら、支払いゼロにしてもらったら良いですね。後から請求してお金が戻ってくるというのもわずらわしいです。

 さて、「プール熱大流行」という見出しが最近の新聞に載っていました。患者さんも「プール熱でしょうか」と受診されることが多いです。そこで、初めて耳にするお母さんの為に、詳しく解説したいと思います。

  「プール熱」とは

 アデノウィルスという微生物の感染でおこる夏風邪のひとつです。症状は、咽頭(いんとう=のど)の痛み、高熱、結膜炎です。医学用語では「咽頭結膜熱」とそのものズバリです。別にプールだけでうつるわけではありませんが、塩素消毒不十分なプールを介して爆発的に流行することがあるので「プール熱」とも呼ばれます。数としてはプールよりも普通の生活でうつる(飛沫感染)方が多いでしょう。感染後、5〜7日で症状が現れます。夏風邪のひとつなので夏季に流行するのが普通でしたが、2000年以降は冬にも増加傾向が見られ、特に昨年から今年にかけてその傾向が明らかになっています。どうしてなんだろう?もしかして地球の温暖化が関係しているのかも。(下に年ごとの流行をグラフにしてありますのでご覧下さい。)
 アデノウィルスは、のどにあるリンパ組織であるアデノイドから発見されたのでそう呼ばれます。ウィルスは1種類ではなく、型が40種類以上見つかっていますが、「プール熱」を起こすのは2型、3型が多く、まれに、重症化して肺炎などを起こし、命に関わる7型も報告されています。

  症状と経過、そして治療

高熱:38〜40度の高熱が平均5日間ほど続きます。
 のどの痛み:のどが赤く腫れ、痛みが4〜5日間続きます。
結膜炎:白目が赤く充血して、痛み、目やにが出ます。涙やまぶしさを訴えることもあります。
 その他、食欲も低下し、全身のだるさも出現します。
 高熱や結膜炎の充血など症状の派手さには驚かされますが、基本的には経過の良い病気なので、命に関わることはほとんどありません。
 治療は、対症療法が主になります。高熱には、かたどおりの身体を冷やしてあげてください。高熱で水分が飲めないようなら、解熱剤で一時的に熱を下げることも仕方ないでしょう。それでも水分が十分でないようなら点滴が必要になることもあります。食物はのどの痛みがありますから、プリンやゼリー、アイス、牛乳やおかゆ、冷ましたスープなどが良いでしょう。酸味の強いジュースはのどにしみるかもしれません。結膜炎に対しては、抗生剤入りの目薬を処方することが多いですが、症状が強い場合には眼科専門医の診察を受けましょう。

  通園、通学はいつから

 アデノウィルスは、病気が治った後も、のどからは2週間、便からは30日間くらい排出されています。学校保健では、症状が無くなって2日以上してから登校することになっていますから、まだウィルスは感染できる状態ということです。登園も同じですね。ですから、流行し出したら、うがいや手洗い(流水と石けん)をこまめにしてください。オムツの交換は、注意が必要です。「目やに」からも感染しますから、タオルは共用しないことです。水泳前後にシャワーや洗眼、うがいも大変大事です。お尻もしっかり洗ったかな。よーし、十分だ。さあ、プールだぞ。
 
 7月もすでに半ばを過ぎました。もうすぐ夏休み。楽しい思い出をたくさん作ってあげてください。時には、夏風邪でダウン。それも思い出です。・・・病気になると、いつもは口うるさいお母さんがとても優しくなった。また、病気しようかなー。やっぱりボクのこと愛してくれてたんだなー。安心しちゃった。ムニャムニャ。・・・こんな夢を見させてあげてください。


  
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