「ヘルパンギーナ」ってなに?

 7月も半ばを過ぎました。今日は連休2日目、18日です。既に30度を超える真夏日が続いていますが、北陸はまだ「梅雨明け」ではないそうです。新聞に8月には、40度を超える日々が続くという恐ろしい予測記事が出ていましたが、本当でしょうか。そうなればエアコンは売れるかもしれないけど、熱中症で倒れる人が何人も出るでしょう。地球温暖化の影響でそんな予測が出たのでしょうが、予測が外れることを祈ります。
 さて、今夏は「ヘルパンギーナ」が大流行中です。「ヘルパンギーナ」・・・herpangina=水疱性口峡炎(すいほうせいこうきょうえん:口の奥の狭くなるあたりに、水疱の出来る病気)について勉強しましょう。ついでに夏の病気の代表「とびひ」への対応もお伝えします。

  ヘルパンギーナ

 腸管系ウィルスの仲間に入る、コクサッキーウィルスA群(これが一番多い)やB群、さらにエコーウィルスなどの感染によって引き起こされる夏風邪のひとつです。潜伏期は2日〜4日で、かかりやすいのは乳幼児です。症状は突然の高熱です。小さな子どもは、とくに高熱が出やすいのですが、高いときは41度近くに達することも有ります。加えて特徴的な症状は、口の奥に出来る1〜2ミリの小水疱です。このために痛くて飲み込めません。ツバも飲み込めなくてヨダレが増えます。この小水疱は2〜3日で次第に大きくなり、回りに赤みを伴って3〜4ミリの大きさになります。小水疱の数は平均5個ですが、中には15個以上も出ることがあります。
 熱の持続は、1日〜4日と幅があります。また病気全体の経過も、3日〜7日と子どもによっていろいろです。4分の1の患者さんで、腹痛や嘔吐、四肢痛を伴うこともあります。
 治療は、水分の補給と高熱に対する対応です。痛みのためにどうしても水分がとれなければ点滴治療が必要です。ミルクや番茶はしみないと思います。高熱で寝られない、飲めないようなら、解熱剤の座薬や内服もやむをえないでしょう。
 熱が下がって、食べられるようになればおしまいです。合併症を起こすことはめったにありません。しかし、他のウィルス性疾患と同じように、まれに頭につくこともあります。無菌性髄膜炎です。また、もっとまれですが、心臓について心筋炎などの重症な合併症を起こすこともあります。

  とびひ(飛び火)=伝染性膿痂疹

 夏は「とびひ」の季節です。特に暑い夏は「とびひ」も多いです。「とびひ」は、皮膚の傷に、黄色ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌が感染して起こります。日本では、黄色ブドウ球菌によるものが多いと言われます。
 虫刺されなどを手でひっかいているうちに感染を起こし、ブドウ球菌のもつ表皮剥脱素という毒素の影響で、大きな水疱が出来ます。破れると菌は他の部位へ「飛び火」して拡がって行きます。これが「とびひ」の由来です。時には、悪化して「ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群」という全身に水疱が出来、破れて皮膚が熱傷の様にはがれる症状を呈することがあります。
 溶血性連鎖球菌による「とびひ」の場合は、水疱は出来にくく黄褐色のカサブタが出来ることが多いです。ブドウ球菌よりも感染力は弱いと言われますが、成人にも見られます。時には、感染後腎炎を起こしてくることもありますから注意しましょう。
 「とびひ」は6才以下の幼児に出やすいです。また、感染は個人だけでなく、家族や保育所、幼稚園で未感染の子ども達に接触でうつっていきます。
 「とびひ」かな?っと思ったら早めに診察を受けましょう。抗生物質の軟膏と飲み薬で多くは治癒しますが、時に抗生剤に効きにくい時もあります。治りにくいと感じたら主治医に相談してください。
 生活での注意として、
|虫刺されは早めに処置をして痒みをとってあげてください。
}日頃から手洗いの週間をつけましょう。爪も切っておこうね。
~「とびひ」治療中は、風呂の中には入らず、シャワーと石けんで菌を流してあげてください。
傷から出る液(浸出液)で表面が湿っているときは、軽くガーゼをあてて感染を防ぎましょう。範囲が広いようなら、数日、通園通学を控える必要があるかも知れません。


   
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