いしかわ子ども総合条例

 北陸も、今日(6/21)から梅雨に突入しました。はからずも私の誕生日です。ついに60才の還暦を迎えました。壮年から老年へ、1年1年を経過する毎に心身共に衰弱への道を歩んでいることは確かです。物忘れが激しくなったり、階段でつまずいたり、考え方に柔軟性が無くなったりと、その衰えを感じる今日この頃です。そうは言っても、何となく昔からの自分は変わっていないと変な自信があったり、そうです、それがそもそも頭が硬くなっている証拠なのでしょう。年をとることに付いては、あまり考えすぎても仕方ないです。人間みんな順番に年をとっていくのですから、素直に受け入れましょう。仕事も遊びも、それなりの事が出来れば満足です。職員から贈られた額にも「人生 これからが おもしろい」と書いてありました。素直にこの言葉を信じて歩いて行きましょう。
 さて今月のマンスリーニュースは、「いしかわ子ども総合条例」についてお話したいと思います。

  いしかわ子ども総合条例

 平成19年3月22日公布、4月1日施行された「いしかわ子ども総合条例」は、子どもの成長を「みんなで応援する」ためにできました。県から出されているパンフレットは、回覧版として町内にも廻されましたから見られた方も多いと思います。
 子ども達を大事に育てることが人間にとってどれだけ重要なことかは明かです。その子ども達が最近おかしいと言われてから、随分時間も経過したように思います。そしていっこうに良くならないのでこんな条例が出来たのだと思います。

 条例の前文を読んでみましょう。
 
子どもは、自ら伸びていく力を持っている。そして、その力は、様々な多くの人との関わりの中でこそはぐくまれるものである。かつて、子どもには血縁や地縁によって多くの人が関わりを持ち、そのことが子どもの健全な心身を養い、自立した大人に成長することを支えていた。
 しかし、近年、都市化や核家族化に伴って人間関係が希薄化し、家庭の内においても、また家庭の外においても、子どもに関わる人の手が少なくなった。
 そのため、子どもが良好な対人関係を築く力を十分に身に付けることができないまま成長し、家庭、学校、地域など様々な社会の中で疎外感を覚え、自己の存在を過小評価するなど、子どもの心身の健やかな成長を阻害する状況が見られるようになった。そして、同様の現象は、次代の親となる若者、さらには子どもを養育する親にまでひろがっている。いじめ、ひきこもり、ニート、虐待などの社会問題は、いずれもこうした地域社会における人間関係の希薄化と密接に関係している。このような現状を危機ととらえ、石川の次代を担う子どもが自由闊達に活動し、健全な心身を形成し、自立した大人に成長していく社会の実現を願うとき、新しい時代を生きる私たち石川県民が今取り組むべきことは、かつて子どもに当たり前のように向けられていた多くの人の手を社会全体の努力によって取り戻し、子どもを通した新たな社会のつながりを構築していくことである。・・・

  子どもが健全に育つ

 「いしかわ子ども総合条例」は、子ども達が心身ともに健全に育つことを願って作られました。ところで、現在の子ども達がおかしいと判断される行動はどんな事でしょうか。
(1)人とのお話が上手に出来ず、すぐに大声を出す。(きれる)
(2)学校でのいじめが増えている。時にはいじめで自殺する子どもがいる。
(3)学級崩壊といって、子どもが先生の言うことを聴かないために授業が出来な   い。
(4)新聞やテレビで、中学生や高校生が親や家族を殺す事件がよく報道されてい   る。時には小学生が友だちの首を切るような事件もあった。
(5)外で遊ばず、家の中でテレビやゲームに熱中する子が多い。
(6)援助交際などをしている子どももいる。
考えつくままにあげてみましたが、まだあるかもしれません。このような子ども達の行動が、大人たちにショックを与えています。子ども達が何故、大人がショックを受けるような行動に走るのか、その本当の原因を突き止めることはなかなか難しいと思います。「子ども総合条例」の条文に掲げたような育て方をすれば、防げるのでしょうか。現代の子ども達が抱えている問題点を早急に分析する必要があると思います。少なくとも、その原因として言えることは、現代の子ども達の育ってくる過程において、問題のある育てられ方をされている子どもが増えているということでしょう。当然ながら、普通に育ち、普通の価値観を持ち、普通の大人になっている子ども達も沢山いるのです。普通の育て方と問題のある育て方の境界はどこにあるのでしょうか。早くそれを見つけて、「普通の育て方はこうですよ」と親に教えてあげる必要があります。異常な道に踏み出す前に、誰かが親と共に子どもの方向を変えてあげる必要があるのだと思います。それが、子育て支援ということでしょう。

  子ども達が求めているもの

 「子ども達が、育てられる過程で求めているもの」は何でしょうか。大変単純な問いかけですが、これが一番大事なことだと思います。
 私は、お父さんとお母さんに「早く赤ちゃんが欲しいな」という希望一杯の家庭に生まれてきました。幸いお母さんの母乳が沢山出たので、いつもお腹がすくと大きなオッパイにむしゃぶりついてお腹一杯飲みました。抱っこされているとお母さんの肌はスベスベで、柔らかくて気持ちよかったよ。もし母乳が出なかったらミルクでもいいよ。でも抱っこして飲ませてね。肌が接していると嬉しいんだ。心臓の音も聞こえて、お腹が一杯になるとつい眠たくなるよ。お腹一杯になったからってすぐに、ベッドで寝かさないで少しは抱っこしていて欲しいよ。寝返りして、ハイハイして危険な年齢だけど、お仕事しながら眼の端で見ていてね。冒険も好きなんだから。でもあまり危険だったら、教えてね。危ない思いをしたら泣き出すかもしれないけど、すぐ抱っこして欲しいよ。「高い高い」もして欲しいな。あれたのしいんだ。でもあまり高く上げすぎないでね。頭の血管が切れるよ。
 1才になったらお母さんもお仕事だから、保育園だね。本当はもう少しお家にいたいけど仕方ないかな。お母さんが迎えにくるまで待ってるよ。お母さんが、私を愛してくれているのは知っているから我慢できるよ。でも保育園でおとなしいのは気を使っているからだよ。お母さんに抱っこされたらつい泣き虫になるけどゴメンね。
 私も3才です。自己主張が出てきたから少しワガママかもしれない。お母さんにも怒られるけど、私の気持ちも分かってくれるからすぐ素直になれるよ。いたずらも多いから怒られるのは当たり前だけど、「子どもってさー、生まれて間もないから見る物みんなが珍しいんだもん。ついさわって落としたり傷つけたり汚したりするんだー。」
 こないだからお母さんのお腹が大きくなって、三日前に赤ちゃんが生まれたね。変な顔してて、「ぎゃーぎゃー」泣いていたね。私もあんなだったって言われても信じられないよ。でもよく泣くね。私あんなに泣いたの。私は、あんまり泣かなかったみたいだけど、姉妹でも性格が違うからね。でも少し寂しいよ。お母さんもお父さんも、お爺ちゃんもお婆ちゃんも、みんな赤ちゃんばっかり見ててさ。私もつい悪いことしちゃう。そしたらお母さんが怒ってくれるし。怒ったまま赤ちゃんの方に行ってしまうから、お母さんが私のこと嫌いになったんじゃないかって心配だよ。保育園にも行きたくないし、お腹も痛くなるし、行かないとお母さんが悲しい顔するし、私どうしたら良いの。お母さん、教えて教えて。でもお母さんが言ってくれたの。「私のこと愛してるよ心配しないで。少し赤ちゃんに手がかかるから、私に怒ってばかりでゴメンね」って言ってくれたの。私4才だけど、ちゃんと分かるよ。お母さんの気持ち。だから明日から保育園行くもんねー。
 私小学生になっちゃった。学校まで歩いて15分かかるよ。集団登校だから、1年生はガンバらないと皆についていけないよ。上級生が「頑張って」って声かけてくれるけど、後ろから引っ張る3年生の男子がいるんだよー。その子が近づいてくると、いやーな感じになるよ。でも親切な上級生がそれに気づいて3年生を注意してくれたの。「うれしかった」
 私3年生です。同じクラスに、乱暴な子がいるの。いやがらせされる子は決まっているけど、私も何か不安で、時々お腹が痛いの。お母さんには話してないけど、お腹を痛がることが多いから、時々声をかけてくれるわ。心配してくれるだけでも「よし、頑張ろう」っていう気が湧いてくる。有り難う。お母さん。
 私6年生になりました。私の身長156センチです。ついにお母さんの身長を追い越しました。家では、ちゃんとお手伝いしてますよ。夕飯作りは、好きな方かな。ゴミを出すのも手伝うけど、好きじゃないなー。学校の成績は、中ぐらいだけど、ソロバン好きなの。検定2級。普通の女の子。お父さんとお母さんは、時にはケンカするけど仲良いほうかな。お爺ちゃんとお母さんは、嫁舅の関係でたまに行き違うけど仕方ないな。人間って、生きてきた道が違うんだからさ。私も随分大人になったでしょう。人間っていろいろあって大人になるんだよねー。でも大事なのは、親に愛されているという感覚とこの世の中で必要とされているという自信じゃないかな。そんな気がする。

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