Q:入学前の第二期MRワクチンはどうしても必要なの?

       A:大人になっても免疫が持続するための大事なワクチンです。

 平成17年もあと2日になりました。明日からは寒波が来るそうです。北陸の雪は久しぶりです。今年の正月は、雪景色の正月になるのでしょうか。天気予報は当たるようで当たらないのが常ですが、悪い天気はドンピシャリと当たるのが皮肉です。出来れば正月3日間は晴れて欲しいなー。いろいろ事情があるので、そう願いたいですが普段の行いが・・・
 さて、「はっぴーママ」という雑誌をご存じですか。19年11月に第1号が出ましたが、2ヶ月1回で刊行予定の「いしかわ子育て支援情報誌」です。正月号として第2号がすでに出ていますが、その中の「はっぴーママ健康相談室」に第期MRワクチンについて書かせて頂きました。年末の白山市での接種率は78%でしたが、流行を阻止する為には95%以上の接種が必要です。4月に1年生になる子どもをお持ちの親御さんは、どうか母子手帳をもう一度確認して下さいね。そんな訳で、今月のマンスリーニュースは、そのお話を転載させて頂きます。

 1才を過ぎた時に単独、あるいは混合の麻しん・風しんワクチンを接種したので充分と思われるかもしれません。でもこの2回目のワクチンが大変重要なワクチンなのです。
 他のワクチンについて考えて見ましょう。たとえばDPT(ジフテリア・百日咳・破傷風)ワクチンは、生後3ヶ月になったら3〜8週間隔で3回接種します。そして、6ヶ月以上あけてもう1回。さらに11才になったらDT(百日咳を抜いた2種混合)を追加します。生ワクチンであるポリオも、生後3ヶ月以後に、6週間以上の間隔をあけて2回投与します。感染を予防するための免疫(抵抗力)を付けるには、充分な量のワクチン接種が必要です。
自然感染を防ぐためにワクチンが作られている病気は、合併症もなく元気に治ってしまうこともありますが、時に命にかかわるほどの重症になることもあります。「元気に治ってしまうことがあるなら、自然にかかった方が強い抵抗力が付くから、その方がいいなー。痛いワクチンを何回も接種しなくてすむよ。」と考える人がいるかもしれません。でもちょっと待ってください。むかしむかし「天然痘(てんねんとう)」という伝染病がありました。かかるとたくさんの人が死ぬ病気でした。牛にも人間の「天然痘」に似た病気があったのですが、たまたま牛の「天然痘」にかかった人は、人間の「天然痘」にかからないということがわかりました。こうして、「天然痘」のワクチンが作られ、世界の人々に接種され、地球上から「天然痘」がなくなりました。自然に「天然痘」に感染して、命が助かった人も多かったでしょう。でもどれだけ危険を伴っていたかわかりません。ワクチンの素晴らしさは、危険が少なくて抵抗力を付けられることです。
麻しんという病気は、むかし「命定め(いのちさだめ)」と言われました。麻しんにかかったら、命がどうなるかわからないということです。それだけ怖い病気でした。現在でも、地球上の栄養状態の悪い後進国では、麻しんで多くの子ども達の命が失われています。麻しんの合併症である脳炎は、
500人に1人が起こすと言われます。麻しんワクチン接種でも、100万人に0.3人が脳炎を起こします。ですからワクチンが絶対安全とは言えませんが、副作用の出る割合が6000分の1なのです。すべてのワクチンに、副作用の危険性はありますが、自然にかかるよりも格段に少ないということが大事です。さらに、麻しん・風しん共に、1才に1回接種しただけでは、年月がたつにつれて免疫が落ちてくることが分かってきました。最近、高校生や大学生の麻しん流行や風しんワクチン済みの母親から生まれる「先天性風疹症候群」が問題になっていますが、そのためなのです。
入学前の第期MRワクチンは、高校生や大学生・成人になっても免疫が持続するための大事なワクチンです。入学まで(3月31日まで)に必ず接種しましょう。4月になると有料(1万円ほど)になります。

追加:厚生労働省からの新しく発表された事ですが、今年4月から中学1年生と高校3年生へのMRワクチン接種が開始されます。麻しんと風しんワクチンを1度しか接種していない為に抗体が低下してきて、この年代の麻しんが流行したり、妊娠中に風しんにかかり風しん症候群という赤ちゃんに異常が出ているのを防ぐために、麻しんと風しんの2回目を全員に接種するためのワクチンです。接種猶予期間は1年間です。そして5年間続けられます。それでおしまいの予定です。接種を忘れた人は実費(1万円ほど)が必要になるでしょう。このワクチンも95%以上の人たちに接種する必要があります。市町村によっては、集団接種が行われる予定の地域もありますが、多くは1才児や入学児童と同様に個別接種です。各自が自覚を持ってワクチン接種をする事が、接種率を上げるために必要です。中学生や高校生が麻しん、風しんという病気について勉強する機会が必要ですね。そうすれば、自分にとっていかにそれらのワクチンが必要であるかが理解できるでしょう。

平成20年4月からの予防接種スケジュール予定が示された感染症センターのホームページです。ご覧になって確かめてください。

    http://idsc.nih.go.jp/vaccine/dschedule/Imm08JP.gif

「今年、最後のマンスリーニュースです。」と言いながらも、もうすでに新年です。お届けするのが大変遅れてしまったことをお詫びします。
 今年はどんな年になるのでしょうか。子ども達が幸せと感じられる年こそ、未来につながる世の中だと思っています。大人たちが手を携えて、それぞれの立場で努力して行きましょう。


     
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