むとう小児科慰安会報告

 桜の花も、無情な雨の影響で早めに散ってしまいましたが、それもまた風情があって良いですね。旭丘小学校の桜も、毎年ながらきれいでした。私が出た小学校にも何本かの桜の木がありました。日本の学校には桜の木は付き物だから、小さな頃からお付き合いが長いです。中学にも高校にも大学にも有りました。昔、大学受験日の学生アルバイトで、頼んでおくと結果を知らせてもらのがあったけど落ちたときは、「桜散る」という電報で知らせてくれました。これも、ショックを柔らかく伝えてくれるアイデアですね。来年こそ「花を咲かせよう」という気持ちにしてくれます。さて今月のマンスリーニュースは、むとう小児科開院20周年の慰安会報告です。

 むとう小児科も今年で開業20年目を迎えました。20年前、知り合いの不動産屋さんから案内されて、まだ周囲に田圃がたくさん残るど真ん中の田圃を、「ここが開業の最適地です。」と言われた時の不安感は忘れられません。「エー!こんなとこなの。」と心の中で叫んでいました。「よし、自分なりの医療をやろう。」と意気込んで開業を決めた私には、すでに逃げる場所はありません。土地の専門家に任せたんだから、この田圃が最適地なんだろうと信じることにしました。そして平成元年4月待望の開業となりました。田圃の真ん中だった場所も、少しずつ家が立て込んできました。アパートも増えてきました。20年がアッと言う間でした。幸い病気もせずにやってこられたのは、家族の協力や職員・友人・知人の支えが大きかったです。しかし、それにも増して大きかったのは、元気になった子どもの顔をみて微笑むお母さんの笑顔(もちろんお父さんもですよ)、そして何と言っても一番は子どもの笑顔そのものに間違いありません。小児科医は、この笑顔を見たくて仕事をしているのです。
 そんな訳で20年目の慰安会は、観光バスに揺られての、京都・大阪方面2泊3日の旅となりました。10周年は、職員と家族も引き連れてのディズニー・ランドでした。今回は、子ども達も大きくなってお家で留守番も有りました。少し人数は減りましたが、10数名の団体です。
 4月11日早朝、小型のバスは北陸道を南下していました。いくつかのサービスステーションを経由しながら昼前に京都の町に着きました。さて、昼食の楽しみです。京都の「ぼてじゅう」をご存じですか。言わずと知れたお好み焼きのお店です。金沢にも有りますが、数段美味しいです。それぞれが好きなメニューに満足しました。午後からの予定は、「京都おどり」です。以前、「都おどり」というのを見たことがありました。それに似たような、舞妓さんの踊りなんだろうなーと思っていましたが、雰囲気はずいぶん違っていました。あたかも宝塚歌劇団のようなとても華やかな雰囲気でした。あどけなさの残る若い舞妓さんからベテランまでの踊り手と、笛や太鼓、歌の大合唱の一糸乱れぬ盛り上がりが、練習の厳しさと共に、芸としての完成度を伝えてくれました。フィナーレが終わると、場内は感動の拍手で満たされていました。夢のような世界から出て、町を散策しながらバスへたどり着きました。そして今晩お泊まりのホテルへ向かいました。そうこうしているうちに夕食の時間です。夕食は中華のお店です。京都に出かけた時によく利用するお店を予してありました。「安くて美味しい」お店の一つです。「高くて美味しい」のは当たり前ですが、「安くて美味しい」のはなかなかありません。京都下鴨神社の近くにある「わんわん」というお店は、美味しい中華を食べさせる貴重なお店です。ここでも、いろいろなメニューを注文して、皆で分けながら楽しみました。当然アルコールが入って会話も弾みます。お料理の出かたもゆっくりだったので、最後のデザートを平らげた時には、かれこれ3時間が経過していました。大満足でお店を後にしました。先に同じ店で食べて、バスで待っていてくれた運転手さんとガイドさん、お付き合い有り難うございました。お腹も満足、酔いも程良くまわって、バスに揺られてホテルへ着く頃には「ねむい、ねむい。お休みなさい。」
 翌朝、この旅行のメインイベントであるUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)へ向かって勇んでバスに乗り込みました。大阪まで大した距離ではありません。昼前にはUSJ正門に着いていました。並らばないでも、優先的に乗り物に乗れるパスを購入していたので、人が多くても安心です。先ず初めに全員で一番人気のジェットコースターです。私にとっては、久しぶりのチャレンジでしたが、皆が乗るんだからと不安を感じながらも列に並びました。開園間もなかったので、パスを使わずに20分待ちです。ゴーという音響とともに、悲鳴が聞かれます。否応なく列についていれば乗り込み承諾です。顔を見て、その年令から「血圧、大丈夫ですか」という声をかける係員もいませんでした。「そんなに若く見えるのかなー」と勝手に自問自答しながらも何となく不安。「還暦の方は禁止」とも書いてありません。身長制限だけです。家内は血圧高めなのでそれも心配です・・・ゴー・・・数分の苦行もあっけなく終了。でも正直恐かったです。急降下する時は、自然と眼をつぶっていました。若いときはあの加速度を楽しめたのに、今では快感ではなくなりました。三半規管の老化現象なのでしょうか。一番ひどいのを最初に体験してしまったので、他の急降下は楽々クリアー出来ました。でも、今度来た時は、ジェットコースターだけは、避けようと思います。そう言えばずいぶん昔、親父と後楽園(東京)でぐるぐる回って急降下する乗り物に乗ったとき、眼をつぶってひどそうにしていた親父の様子を思い出しました。それほど年でもなかったはずだけど、子どもに付き合って乗ってくれたのでしょう。いくつかの乗り物をパスを使いながら楽しんでいた時、たまたま、同行者の一人がパスを落としてしまいました。そこで、喜んで私のパスを進呈しました。私は、一人遊びをしてこようということで、USJを抜け出て、大阪見物となりました。道頓堀で昼食の美味しいおうどんを食べ、大阪人に混じって、売りに出された「くいだおれ人形」のデジカメを撮りました。あと2時間程あります。眼に飛び込んだのは「よしもと」です。漫才、落語、新喜劇のあの「よしもと」です。花月劇場はすぐ近くにありました。当日券も残りわずか。最後列右端の2つの席が売れ残りです。何年ぶりかでの生のお笑いです。テレビでよく見る芸人の漫才や落語、そして最後の新喜劇で笑わしてもらいました。最近の研究では笑いが免疫力を高めて、ガンにも効果ありというお話もあります。私には、加速度体験よりも一番の必要物だったのかも知れません。
 笑いの余韻を楽しみながらホテルに戻ると、ちょうどバスも戻ってきた時でした。さて、夕食は高級串揚げです。本で調べて予約を入れてありました。カウンターを独占してワインと串揚げと会話を楽しみました。これも大満足。あとは寝るしか有りません。「よしもと」の笑いが、加速度体験を打ち消してくれたようで、うなされることもなく朝まで熟睡でした。さて、最終日は、神戸近くのアウトレット(ブランド製品を格安で購入できる場所)でのお買い物です。何か掘り出し物はあったでしょうか。
 夕方、エネルギーを使い果たしたように、帰路のバスに乗り込みました。

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