第3(中一)、第4(高三)期MRワクチン接種情報 第2弾

  ●今年、麻しん(はしか)にかかった人は日本全国で何人?

 インターネットで、国立感染症研究所 感染症情報センターにつないでみると、いろいろな情報に混じって、今年1月からの患者数が分かります。下にその報告からとりだしたグラフを示しました。2008年1月の第1週から第34週まで、1週間毎に報告された麻しん患者の数が棒グラフで示されています。多いときは1週間に567名の報告があります。1番最近の第34週は26名です。34週の最後の日は8月27日ですが、その日までに報告された今年度の総患者数は1万677名でした。何と8月末で1万人をオーバーしているのです。今年もあと4ヶ月残っていますから、患者数が減っているとはいえ、まだ増えそうです。秋の国体など、全国から人が集まる行事が、患者が増える起爆剤です。高校3年生だけでなく、2年生も1年生もMRワクチンを公費で接種出来るようにしてあげて欲しいです。全国の集まりに行く1、2年生は、3年生の公費接種を前倒しで出来ることにしたらいいです。頭を柔らかく、「決めたらそれ以外はダメー」なんて言わないで、実戦に合わせて変えたらいいですね。

  ●都道府県別麻しん患者報告数

 上のグラフを見てください。日本全国の麻しん患者数が県別に棒グラフで示されています。左方向に青いグラフが3本そびえています。神奈川、東京、千葉です。更に最も左端に北海道の青く高いグラフも目立ちます。その1都1道2県をスケールを変えて右端にまとめてあります。これでは神奈川県3,494名、北海道1,449名、東京1,132名、千葉1,021名の麻しん報告がありました。ダントツは何と言っても神奈川県です。横浜と私の故郷”横須賀”は、神奈川県内でも多かったようです。小児科内科の先生は、どれだけ大変だったことでしょう。

  ●年齢別麻しん患者報告数

 上のグラフは年齢別麻しん患者数です。15才にピークがあります。20才代、30才代と減少していますが50才以上でも72名の患者さんが出ています。青で示されている患者さんは、麻しんワクチンを1回だけやった患者さんですが、この場合1回目のワクチンの効果が次第に低下した状態で感染するために、症状が不完全に出る「修飾麻しん」と言われるものです。典型的でないので、診断が難しく、他の人(ワクチン未接種の赤ちゃんなど)に感染させる機会も多くなります。第3期、第4期MRワクチンは未接種の人や1回のみ接種している人に2回目の接種の機会を与える大事なワクチンです。全国的にどこに行っても麻しん患者さんはいるわけですから、「1年間余裕があるからその内に・・・」なんて言わないで直ぐ接種しましょう。

  ●今年4月から6月までの石川県内第3期、第4期MRワクチン接種率

 平成20年4月から6月までの3ヶ月間における第3期(中学1年)第4期(高校3年)MR(麻しん十風しん)ワクチン接種率がわかりました。予想どうり低接種率です。特に第4期が目立ちます。ある地域では第3期が軒並み90%を超えていますが、ここは集団接種が行われました。すでにお話しましたが今年度、麻しん患者の発生は、神奈川、千葉などの束京近辺が特に多く、福岡、大阪、北海道などでも多数報告されています。総患者数は、8月27日現在1万677人に上ります。最近は終息傾向ですが、全国的な集会でもあれば、再燃の危険性は否定できません。麻しんの拡大を防ぐには、未接種者への先ずは1回接種と1回接種者への2回目接種が必須です。国では2012年を目標に麻しん排除計画を立てていますが、その実行の為には毎年出来るだけ早期に接種率95%以上達成が求められています。何回かの接種勧誘はがきで、その必要性を訴え、1年間が過ぎると有料になる(1万円)などの情報も接種率アップに繋がるとは思いますが、お母さん方や学生同士の携帯電話連絡網などを通じて、折りに触れて現実問題である有料化も含めたMRワクチン接種推進のお言葉の掛け合いが接種率アップにつながると思います。また、PTA主催の麻しん・風しん勉強会を企画して頂き、子ども達が自らのワクチン接種理解へと繋がる機会を作って頂けたら最高です。講師は、校医の先生に頼みましょう。「接種してないと海外の修学旅行へは行けないよ」ではなく、「自分の身体は自分で守ろう」という考え方の基になるでしょう。

   

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