新年を迎えて   

 おだやかなお正月も、アッと言う間に過ぎてしまいました。久しぶりの里帰りやお節料理に、つかの間のやすらぎを味わえたでしょうか。
 さて、平成も6年目に入りました。日々の生活も少しずつ変化しています。社会も揺れ動いています。そんな中で、子供達も、成長しています。両親が育った時代とはずいぶん違った生活ですが、親の遺産を引き継ぎながら、新しい時代を作って行くのだと思います。
 さて、小児科外来は、「おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)」が猛威をふるっています。少し知識を仕入れましょう。
おたふくかぜ流行中
 おたふくかぜは、ムンプスウイルスの感染によっておこります。感染のしかたは飛沫感染で、感染してから症状が出るまでの潜伏期間は、2〜3週間です。感染しても症状のでない不顕性感染が30〜40%あるといわれます。感染力が一番強いのは、腫れる1日前から、腫れて3日後までですが、腫れている間はうつる可能性があります。唾液を出す組織のうち左右の耳下腺をおかすことが最も多く(60%)、片側のみ、あるいは、顎の下にある顎下腺のみをおかす場合もあります。腫れは多くは3日から7日で消えますが、時に10日間ほど見られることもあります。発熱は3日ほどです。長く続く時は、髄膜炎が疑われます。
おたふくかぜの合併症
 髄膜炎が有名ですが、10人のうち1人くらいの割でおこります。発熱、頭痛、嘔吐があれば、疑いありです。ふつうは、後遺症もなく治ります。思春期以降の男子では睾丸炎、成人女性では卵巣炎を起こすこともあります。睾丸炎では片側のみが多く、両側が強く萎縮しないかぎり不妊になることはまれです。
 1500人に1人の割で、難聴が起こることもあります。多くは片側のみで回復しません。また、まれに膵臓炎や腎炎を起こすことも知られています。

ワクチンを打とう!

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