千葉県幕張にて    

 先月5月1、2、3日と千葉県の幕張で第九回日本アレルギー学会春季臨床大会が開かれました。久しぶりの出張に心ワクワク気もそぞろと言うところでしょうか。いくつになっても修学旅行気分が抜けません。アレルギー学会の楽しみの一つは、以前、アレルギーの研究をガッパになってやっていたころ学会で知り合った、日本全国の知己に再会できるというのがたまらなくうれしいのです。「研究者として、あるいは管理者として、魅力的な人間がこんなにもいるもんなんだなー」といつも感心させられます。「自分もがんばらなくちゃ」と心新たに仕事に立ち向かう喝を入れてもらえるのです。  二番目の楽しみは、やはり知らない土地へのあこがれでしょうか。今回は東京近辺ですから、その楽しみは半減しましたが、ビルの林立する幕張は昔の千葉のイメージとは随分違っていました。五十年後の松任を暗示しているのでしょうか。そういう意味で大変興味がありました。
   マルチメディア
 さて、今回の学会の話題は?と言うと「マルチメディア」、そう、あの長嶋監督も言っているあのマルチメディアです。会場にはビデオ撮影機をはじめ沢山のマルチメディア機器をふんだん持ち込んで、看護婦さんをはじめすべての医療関係者が理解しやすいように心を砕いていました。若い先生が会長をやると学会の形だけでなく雰囲気まで変ってしまうんだなと思いました。古い殻を打ち破って、新しい流れが出来はじめています。
   アレルギー科標榜
 昨年度から診療科目にアレルギー科を掲げても良くなりました。医療の流れとして医院の専門性をアッピールすることが大事なのだと思います。逆に言えば、患者さんが専門性を重要視するようになってきたということでしょう。昔のように医者なら何でも・・・という時代は終わろうとしています。医学が進歩すればするほど、理解しなければならないことが増えるのですから、脳味噌の容量の限られた人間には当然のことかもしれません。こんな話題について、アメリカでアレルギー専門の開業医経験のある長屋宏先生が講演されました。
        長谷先生のスライドより
 先生は、アレルギー専門医として、研鑽に励むのは勿論のことアレルギー疾患の治療の原則である原因抗原の除去、および除去不能な場合の減感作療法(原因となっている抗原を薄い濃度から次第に濃度を上げて定期的に、何年にもわたって注射する方法)を強調されました。アメリカでは、徹底的に原因抗原を追及して除去、あるいは減感作するのが専門医の常識なのです。日本では減感作は以前に比較したらほとんど行われていません。薬物療法に頼りすぎる日本のアレルギー疾患治療は、先生から見られたら治療をサボっていると写られたのかもしれません。この長屋先生の意見に対する回答は簡単には出せないと思いますが、現在の日本のアレルギー疾患治療を振り返る良い機会とも思われます。
   懇親会にて
 
例年のごとく沢山のアレルギー疾患に興味を持つ人達が集まりました。私の勤務していた国立療養所関係の医師とは状況が似ていたので特に話しが合います。また、開業してしまうと、病院勤務の頃のように新しい話題についていくのが難しいのですが、開業しながらも頑張って発表している先生もいます。そんな先生と話していると、「私も頑張ろう」という気持ちになってきます。ほんの数時間ですが、本当に貴重な出会いでした。来年の再会を約束して昼間だけの町、幕張をあとにしました。


   診療予約システム導入最新情報

 現在のところ7月1日から予約システムを導入する予定です。
5月号のマンスリーニュースでお知らせしましたように、予約の操作は簡単です。おじいちゃん、おばあちゃんで機械が苦手の方は、前日あるいはその朝早めにお父さんかお母さんに予約をしてもらってください。予約の仕方のパンフレットは近々お渡しいたします。また、もうすぐ兄弟を一度に予約できるシステムになりますが、それまでは、1人予約したら兄弟で受診希望のお子さんも一緒にお連れください。


  
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