毎年のことですが
     
インフルエンザ情報

 寒くなるにつれて、お腹に付く風邪が流行だしました。乳幼児だけでなく小学生も罹っています。毎年思うのですが、気温の変化と風邪の流行が何と微妙に絡み合っているのでしょう。本当に不思議です。
 さて年末から来年へのインフルエンザ流行予想はどうなっているのでしょうか。今年2月の流行は、シーズン中の患者数127万人と、過去10年間で最大と報告されました。毎年、インフルエンザに伴う肺炎や脳症による死亡者も多く、特に乳幼児や老人が犠牲になっています。インフルエンザは、欧米では「命のともしびを消す」病気として普通の風邪とは区別され恐れられています。日本も、国が率先してインフルエンザワクチンの接種を再検討する時期に来ていると思います。(図らずも、12月4日のテレビニュースで、インフルエンザワクチン接種の再検討委員会が発足したことを告げていました。しかし、答申が出るのが来年の6月だそうです。人の命に関わることはもっとスピーディーにやってほしいですね。)

 子供の犠牲者

 日本語版メディカルトリビューン紙の11月 12 日号にインフルエンザ特集が掲載されていました。インフルエンザの流行状況を示す統計として、国内の「死亡統計」もまとめられています。それによると1993年519人、94年65人、95年1244人、96年166人となっています。95年の千人以上の死亡者が出た年の内訳は、65歳以上の高齢者が1112人、89.4%と大半を占めていますが、ここで忘れてはいけないのは、残りの134人のほとんどが小学生以下、特に乳幼児であることです。毎年、インフルエンザ流行に伴って多くの高齢者が亡くなっている話題が新聞紙上をにぎわせますが、その陰で常にその死亡者の一割が子供であるという現実を理解してください。子供もお年寄りも社会においては弱い存在ですが、弱いものに手をさしのべる日本であってほしいですね。


最近の日本医師会から届いたパンフレットにワクチンに対する専門家の意見が載っていましたのでご紹介します。

 受ければ効果があります                        --インフルエンザワクチン接種のすすめ--

  川崎市立川崎病院小児科部長   武内 可尚

インフルエンザと普通のカゼは大違い

 インフルエンザにかかると「かぜをひいたかな」と思っているうちに、ゾクゾクと寒気がしてきて、アッという間に高熱が出てきます。頭痛だけでなくとにかく全身がだるく、関節や筋肉が痛みます。2〜4日で熱は下がりますが、体調がもどるには1週間はかかります。赤ちゃんでは痙攣、子どもでは中耳炎、脳炎、脳症など、お年寄りでは重い肺炎になることも少なくありません。インフルエンザで脳炎や脳症になったり、あるいは突然死した子どもは毎年200人以上にものぽります。残念なことに、この中にはインフルエンザワクチン接種をしていた子どもはいませんでした。

ワクチンは「流行ウイルス]にも対応

 インフルエンザウイルスは、毎年少しずつ性質を変えて襲ってきますので、一生のうち何回もかかることになります。しかしワクチンは流行ウイルスの変化も予想して作られていますので、ウイルスが全身にぱらまかれるのをかなり防いでくれます。反対にワクチンを接種していなければまったく無防備ということになります。

ワクチン接種が最もよい予防法

 ワクチンに使用するウイルスはWHO(世界保健機関)の意見や、わが国の前年の流行などを参考にして厚生省の専門家会議で決められます。4週間隔で2回受けるのがよいのですが、1回だけでも年内に受けておきましょう。もし。2回できず1回だけとしても、接種しない場合に比べ効果は明らかにあります。インフルエンザワクチンの副作用はほとんどありませんから、子どもやお年寄りはもちろん、成人もあらかじめワクチンを接種しておくことをおすすめします。
    
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