真 珠 婚

 3月も半ばを過ぎました。天候は寒かったり、暖かだったり不安定な感じです。しかし、スギ花粉は昨年より多めにその寒暖の合間をぬうように、着実に花粉を飛ばしています。
 昨年同様、インフルエンザも B型中心にぼちぼちと見られます。昨年と違うのは、アメリカがもうすぐイラクを攻撃する話題で世界中が不安になっていることです。アメリカの暴挙としか見えない行動は、地球の平和を招く行いとは到底思えません。それを支持する小泉首相の発言は、平和憲法を掲げる日本人の意志を無視しています。
「うーん。どうしたらいいんだろう」
のんびりとマンスリーニュースなんて書いている時じゃないのかもしれないけど書きます。

  真珠婚って?

 「真珠婚(しんじゅこん)」ってご存じですか。銀婚式(結婚25年目)や金婚式(結婚50年目)は有名ですが、結婚30年目を真珠婚と言います。そうなんです。恥ずかしながら武藤夫婦がついに結婚30年を迎えたんです。
 マンスリーニュースの話題として「ふさわしいのかなー」と考えましたが、考えているうちに発行が遅くなってしまいました。書きながらも迷っていますが、一つの夫婦の30年の軌跡の一端をお話しします。

  出会い、そして

 人間の出会いって不思議ですね。どんな人間に出会うかがその人間の一生を左右してしまうこともあるんですからね。
 はるばる横須賀から医師になる大きな夢を抱いて金沢駅に降り立った武藤青年は、体重48キロ、身長やや低めの竹脇無我似(こんな人知らないって?困ったなー)の好青年でした。借りた下宿は学生ばかり4人が入っている笠舞の民家です。下宿の叔母さんはご主人が病死されて、娘さん二人の子育てに頑張っておられる肝っ玉母さんでした。
 北陸は雪が多いと聞いていたのに、10月になっても11月になっても降らないから「なんか淋しいなー。雪のない北陸なんて。早く雪が見たいなー」と思っていたら、12月からは、みぞれと雪が、北陸の本性を発揮してくれました。コタツしか許可してくれない下宿の四畳半で、身体を縮ませながら生活した北陸の初めての冬。今思い出しても寂しくて寒かったなー。でも、クラスで友達が出来て、その寂しさを満たしてもらいました。同じ神奈川出身のT君は、とてもまじめで気が合いました。そのうち二人とも地元出身の悪友N君の餌食になり雀荘へ足繁く通うようになりました。特にT君は麻雀と相性が合ってしまい、私以上に私財を投じていたようです。更に七尾から来ていたH君も仲間に引き入れられ4人でよく積み木遊びをしました。でもその中で人間同士の深い信頼と友情が育ちました。子どもにとっても遊びはとても大事です。子どもの仕事は遊びです。遊びの中でいろんな事を学んでいるんです。
 3回目の冬が巡ってきました。同じ下宿の工学部のM君が腹痛のため同じ工学部の友人・N君と約束していたスキーに行けなくなりました。その欠員を埋めるために私が急遽参加することになりました。獅子吼高原スキー場。ユースホステルに一泊しながらのスキー三昧。とは言っても私はまだ習ったばかり。南沢をボーゲンでどうにか降りて来られる程度でした。そのユースに来ていた友人・N君の知り合いが彼女でした。ここで初めて女性が登場しました。物語は佳境(面白い所)に入ります。午前中、みんなで目一杯滑って山頂の休憩所で昼食です。彼女が私の手袋を親切心からストーブに干してくれました。ところが、ところがです。何と安物のビニール製の私の手袋が無惨にも熱で溶け出してしまったのです。彼女は手袋と言ったら革製と思っていたのでしょう。
 本当に出会いとは不思議です。革手袋だったら、二人ともまた違う人生を歩いていたかもしれません。M君が腹痛にならなかったら、彼女とも永遠に会わなかったかもしれません。
 実家が遠い、かつ長男と一人娘の結婚は、たどり着くまでに小さいながらも山や谷がありました。
 私の卒業と同時に結婚。別に今はやりの出来ちゃった結婚ではありません。医学生ですから当然です。
 長いようであっと言う間の30年でした。今思うと、どちらの両親も暖かく見守ってくれたことが、何よりも嬉しい宝物だと思います。子育てと仕事にあくせくしていた頃には分かりませんでしたが、子どもが結婚する年頃になるとよく分かります。二人の努力と言うより、見守ってくれる人たちがいたから頑張れた30年だったことが胸に染みます。親だけでなく、子ども達にも見守ってもらった30年だと思います。

  そしてこれから

 そしてこれから二人は、どうしましょう。まだスネをかじられている状況だから頑張らなくちゃね。二人とも50才も半ばです。仕事もいろいろあるけれど、健康に気を付けながらたくさん思い出を作りたいです。結婚35年、40年、45年・・・人生突然に、「おしまいよ」と言われることもあるけど毎日が精一杯ならばそれで良いですよね。二人の別れは必ずあるけど、それも定めだから受け入れましょう。
 でも30年。あっと言う間の三十年。明るい貴方と出会えて良かった三十年。あまり言わないけど、感謝してるんだよ。汗出て来ちゃった。


   
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