13歳のハローワーク

 あけまして
   おめでとう
     ございます

 2004年、新しい年が始まりました。申年の始まりです。
 最近の政府の発表では、「景気は確実に上向いている。」という事だそうですが、現実の生活はその実感を得ていない状況です。
 更に大きな出来事として、新年早々自衛隊員が少しずつイラクへ派遣されています。復興支援という名目ならば装甲車で行く必要はないと思うのですが。安全確保のためが、かえって現地の人たちとのコミュニケーションを阻害したり、テロリストを刺激してしまうことはないでしょうか。テロの犠牲者が出ないことを祈るばかりです。
 さて、新年のマンスリーニュースはもっとフレッシュな話題で行きましょう。

  ハローワーク

 「ハローワーク」は、すでにご存じのように公共職業安定所の愛称です。和製英語ですから、英語辞典で引いても出てきません。「仕事さん、こんにちは!」というとこでしょうか。
 昨年11月、村上 龍という作家が「13歳のハローワーク」というユニークな本を出版しました。前書きを読み進むうちに、「本当にそのとうりだなー。」と感心してしまいました。最近の社会状況を見ても、大きな銀行や会社がつぶれたり、国会議員や社長が悪いことをしたり、何がなんだか分かりません。自分の幸せをどこに求めたらいいのか、みんなが迷っている時代だと思います。そんな時、この本は、その回答を指し示してくれているように思いました。皆さんにも、自分のため、また子ども達のために、一度は読んでいただきたいと思ったのでご紹介します。
 表紙の帯から・・
〈いい学校を出て、いい会社に入れば安心〉という時代は終わりました。
 好きで好きでしょうがないことを職業として考えてみませんか?

 裏表紙の帯から・・
13歳は自由と可能性を持っています。だからどうしても世界が巨大に映ってしまって、不安ととまどいを覚えるのです。わたしは、仕事・職業こそが、現実という巨大な世界の「入り口」なのだと思います。わたしたちは、自分の仕事・職業を通して、世界を見たり、感じたり、考えたり、対処したりすることができるようになるのです。自分の仕事・職業によって世界と接しているということです。・・・

  飲み屋の主人

 また突然「飲み屋の主人」で、ビックリされたことと思います。でも「ハローワーク」につながるお話なのでご勘弁下さい。片町の裏通りにある大変汚いお店のお話です。
 ある時、その店の60過ぎのおっちゃんに、「どんなきっかけで、この店をやることになったの」と聞いたことがありました。2人とも適当にアルコールが入ってのお話ですから、ジョークでも返ってくるのかなと期待していました。ところが、おっちゃんはまじめに答えたんです。「いやー、お袋が『今の仕事楽しいか?』と聞かれたもんだから『楽しくない』と答えたんだ。」「そうしたらお袋が『じゃー、止めろ』と言ったんだ」それで止めたそうです。仕事は大製薬会社のセールスでした。すごい親子だなーと感心しました。特に大会社にいた息子に「止めろ」と言ったお袋さんはすごいなー。それ以来、おっちゃんは30年間お店をやって来ました。奥さんも家でお総菜を作ってくれます。どのメニューを頼んでも「うまい」の一言です。テール・シチュー、ニューメン(温かいそーめん)、焼き鳥、ジャガイモサラダ、焼きししゃも、ピーナツ(これは買ってくるだけ、でもうまい)・・・黒板にメニューがギッシリ。料亭の味にない親しみを感じる心地よい味。高くなくてうまい。そして、何よりもくつろげて、心を許せるおっちゃんの持つオーラ。金沢の有名人や東京の有名人もお忍びでやってくる。こんなことを書いているうちにまた行きたくなっちゃったなー。
 そう言うことなんです。分かって頂けたでしょうか。好きな仕事。楽しい仕事。みんなが喜んでくれる仕事。だから30年も続けられたんだよね。
 おっちゃん、元気で長生きしてね。

  本当の幸せ

 人間の一生は1度です。江戸時代に生きていたのかも知れないけど、記憶がありません。生まれ変われたらいろんな事が出来るけど、やっぱり楽しいこと、みんなに役に立てる仕事がいいな。機械が好きな子どもは自動車や飛行機や時計作り。カメラもいいな。海が好きな子どもは船乗りや漁師。船を造る仕事も楽しいかも。本が好きな人は学者や本屋さん。絵本を書くのも楽しそう。
 江戸時代は士農工商で身分が別れていたから親の仕事を、嫌いでも継ぐより仕方なかったけど、現代は好きな仕事、興味ある仕事を選べる、本当は素晴らしい時代なのかも知れないです。
 親が子どもの性格や興味有ることにもっと敏感に関わってあげられたら良いだろうな。この子は花が好きなんだなー。この子は機関車が大好きなんだなー。好きなことに関係した仕事に就くにはどんな道が有るんだろう。親子で少しずつ話し合えたらいいな。今みたいにまず学校、そして英語、数学、社会、全部いい点とるのがまず大事なんておかしいよね。それで幸せになれればいいけど。いやいやお役人してても、汚職したくなるよねー。でも、幸せはお金じゃ買えないよ。人に尽くすことが大好きな人は、公務員もいいね。必要な道路や公園をみんなの立場に立って作ったら、これほど楽しいことは無いんじゃないかな。
 人間の「本当の幸せ」って何だろうと考えたときに、やっぱり自分が好きで楽しい仕事を続けて、みんなに喜ばれる・・そういうことだよね。
 おっちゃん、幸せだね。


  
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