小児救急医療問題

 4年に1度のオリンピック競技会が、ギリシャのアテネで始まりました。暑かった夏の締めくくりとして、これほどエキサイティングなことはありません。男女サッカー、柔道、体操、水泳、マラソンとメダルをねらえる種目もたくさんあります。「参加することに意義がある」というオリンピックですが、メダルを目指して頑張るというのも真実です。しかし、メダルに手が届かなかったとしても感動を与えてくれるのもオリンピックです。いずれにしても目標に向かって頑張っている姿は、見ていて気持ちがいいですね。勝っても負けても最高の技術の戦いです。勝った時には祝福を、負けた時にはねぎらいを。
 頑張れ!日本。
 
 さて、今月のマンスリー・ニュースは、突然ですが「小児救急医療」について考えてみたいと思います。

 現在、松任市では石川松任郡市医師会(野々市、鶴来、美川、石川郡)の仲間とともに休日当番医制度を行っています。参加診療科は、内科、外科、小児科です。小児科は会員数(参加者9名)も少なく、1〜2ヶ月に1度回ってくるために午前3時間(9-12時)の自院診療にとどまっています。この状態に対して、住民から午後もやって欲しいという希望が出されていることも聞いています。また、松任市から時間外診療の拡大案も出されていますが医師会として対応出来ていないのが現状です。これも小児科医が少ないことが主な原因です。
 親として、初めての子育てに心配事がたくさんというのは、今も昔も変わりのない事でしょう。しかし、昔は親と同居が多かったですから、子育ての先輩から直ぐにアドバイスがもらえました。現在は、核家族が普通です。それに近所との交流も少ない。当然、お母さんの心配も解消されません。それが、時間外受診増加の一因になっているとも考えられます。お母さん同士の子育て情報交換も、子育て支援センターやインターネットを介して盛んになってはいますが十分ではありません。
 この状況を少しでも改善したいとの考えから広島県ですでに行われている、救急電話相談が国の後押しもあり全国的に行われる予定です。石川県でも電話相談という方法にいろいろな意見が出ました。「不十分な対応しかできない」と反対の先生も少なくありません。私も電話という患者さんの顔が見えない対応が重症を見逃すのではという不安がありますが、「直ぐ診てもらえる病院が確保されているなら参加します」と返事しました。救急電話相談という方法が、公立病院の時間外診療の患者数を減らしてくれれば、激務の勤務医の先生方にとっても大変助かります。「電話相談」は、新たな患者さんの掘り起こしになるのではという意見もあります。つまり、救急でもないのに手軽に電話をかけてくるのではということです。でも心配なら仕方ないなと思います。救急以外の電話相談窓口を別に作ったらいいかもしれません。その対応は医師ではなく、ベテランの看護師さんに手伝ってもらいましょう。救急でない相談を看護師さんが聞いているうちに「それは、重症かも。」という場合もあるかも知れません。その時は医師が電話を替わりましょう。
 先日、日本小児科学会では、小児救急医療を充実させるため、24時間対応の「地域小児科センター」(仮称)を全国各地に設置する構想をまとめ、発表しました。地域の開業医も診療の応援をするなど協力し、夜間や休日でも小児科の専門医が救急診療できる体制を整えるとのことです。構想は現在ある病院の施設を利用して、人口30万〜50万人に1カ所のセンター設置。全国に400カ所程度を整備する方針。常勤の小児科医を13〜15人確保して、小児の1次と2次救急、新生児医療を集中的に担当する。・・・・少し時間がかかりそうです。

 少ない人数で効率よい、患者さんの満足できる救急医療はどうしたら作れるのでしょうか。小児救急医療体制への皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
 救急体制を不満に感じた体験や満足した体験、「こうしたらどうか」という斬新なご意見など、当院へのメールでお願いいたします。

     アドレス:kaz22621@karatsu.ne.jp

宜しくお願い致します。

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