「禁煙フォーラム2008開催」

       子ども達と自分のために禁煙しよう

 今日は6月1日でした。良い天気でした。ところで、マンスリー・ニュースの発行が最近遅れ気味です。好きに書いているようですが、ホームページにも載せているので、どうしよう、何にしようと考えているうちに、いつのまにか遅れてしまいます。読んで頂いている方々には、大変ご迷惑をかけて申しわけありません。「そんなに期待してないよー」と言って頂けると大変気が楽です。でも、少しは期待してね。今回も、いろいろ他に用事があったりして、つい延ばし延ばしになってしまいました。
 そこで決めました。5月25日に開催された「禁煙フォーラム2008」という集まりについてお話しましょう。
 私は、初めて参加したのですが、「身体に害のあるタバコをみんなで止めよう」と呼びかける大変意義のある勉強会でした。

  タバコの害

 現在、タバコに害があることを、知らない人はほとんどいないでしょう。一番有名なのは肺ガンですが、統計をとってみるとそういう結果が出るわけで、「うちのお爺ちゃんはヘビースモーカーだったけど、90才まで生きとったよ。」という話はよく聞きますね。個人個人ではいろいろあるでしょうが、統計では世界でタバコが原因で、一年間に500万人、日本では11万人が亡くなっています。計算すると、日本では一日300人が亡くなっている事になります。
 日本でタバコを吸い始める年令は、中学生や高校生が多くなっています。好奇心や友人に勧められて吸い始めるわけですが、その時はタバコの害なんて考えていません。もちろん、タバコで死ぬなんて考えてもいませんね。でも、タバコの煙には、人に害のある物質が200種類以上含まれています。その為「タバコは毒のかんずめ」とも言われます。その毒の主なものは次の3つです。
◎一酸化炭素
 タバコを吸うと、身体に一酸化炭素がたまります。吸わない人の、5倍から20倍くらいたまります。一酸化炭素は、体の中の酸素を追い出してしまい、なかなか外に出ていきません。するとどうなるでしょう。そうです。身体がいつも酸素不足になります。人間は酸素が足らないと、頭の働きが悪くなりますし、運動も出来にくいです。また、身体の成長も遅くなるから身長も伸びにくくなります。

◎ニコチン
 ニコチンは、身体の血管を収縮させる作用があります。そうすると、血液の流れが悪くなって身体全体に酸素や栄養が届きにくくなります。また、ニコチンは、血管を傷つける作用もあるので、血管の老化を早めます。血管は全身に張り巡らされているので、全身が老化することになります。つまり、「タバコを吸うと、身体が早く年をとる」ということです。下の写真は双子の姉妹ですがどちらが愛煙家か一目瞭然ですね。

◎タール
 私が医学部の学生だった頃、病理学で、肺ガンで亡くなられた男性の病理解剖実習がありました。切り出された色の悪い肺に先生がメスを入れると、その切り口から黒いどろどろした物質が流れ出しました。「随分汚れているなー」と思ったら、それがタールでした。
 タールには、ガンを起こす物質(発ガン物質)がたくさん含まれていますから、タバコを吸う人は、肺ガンをはじめ、全身のほとんどすべてのガンにかかりやすくなります。とくに、若い頃から吸い出した時はガンになりやすいことが証明されています。たとえば、肺ガンで60才までに死ぬ率を調べると、15才までに吸い始めた人は、吸わない人に比べて30倍も高くなっています。
 肺への影響として、老いてからCOPDという喘息に似た、息苦しい状態も引き起こします。ひどいと酸素吸入を欠かせなくなります。


  
その他いろいろな害

 タバコを吸うと血管が老化するというお話をしましたが、そのせいで心筋梗塞や脳卒中を起こしやすいです。聞いたことがある病気と思いますが、心臓に栄養を送っている血管や、脳に栄養を送っている血管が詰まるのですからその詰まる場所によっては、即死ということもあります。軽く済んでも脳の場合は、麻痺や知能障害、言語障害が残ったりします。
 時には足の血管が詰まることもあります。バージャー病と言いますが、重症の場合は、足の指がくさってとれてしまいます。この病気はほとんどタバコを吸う人だけがかかる病気です。
 皮膚へ行く酸素や栄養も減るので、肌の老化も早く、しわも増えます。また、はげやすくなります。
 タバコの煙には鉛が含まれているので、身体に鉛がたまります。鉛は毒性の強い環境汚染物質ですが、貧血を起こしたり、全身の細胞を傷つけます。とくに、鉛は脳細胞にたまりやすいので、知能を低下させることもあります。さらに、タバコは歯や歯ぐきを汚したり、臭いをつけます。英国の禁煙ポスターには、「タバコを吸う人とキスするのは、灰皿の底をなめるのと同じ!」という言葉が書かれています。
 結局、人間の寿命を短くさせることは確かです。

  タバコは病気です

 タバコは病気です。止められないのは貴方の意志が弱いからではありません。ニコチンという物質の中毒になっているのです。現在は、内服薬や貼り薬を利用して、病気として治療します。タバコを吸うと、一時的に爽快にはなりますが、ストレス解消にはなりません。また、一回禁煙に失敗したからと言って落ち込む必要もありません。「止めよう」という貴方の意志とあせらない心が必ず禁煙を成功させるでしょう。  good luck!

  参考文献:10代のフィジカルヘルス タバコ 加治正行・笠井英彦 大月書店

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