発熱について   

 今年の夏は、ほんの少しの思い出を残したまま、過ぎ去ってしまいました。子供たちは、台風の合間に突然顔をだす太陽にあわせて、短い夏を楽しめたでしょうか。
 のどの腫れるヘルパンギーナ、手足口病、夏風邪胃腸炎、そしてとびひなど夏の代表的な感染症は、足早に去って行きました。そのかわり、冷夏のためか、喘息発作は例年より多かったと思います。人間の健康が、いかに自然の影響を受けているかが分かります。と言うより人間が自然の一部であることの証明かも知れません。さて、今月のマンスリーは、赤ちゃんの気になる症状として発熱の復習をしましょう。


 赤ちゃんの初めての発熱は、本当に心配です。小児科の外来では、咳についで多い訴えです。そのほとんどは風邪ですが、熱の高さより、赤ちゃんの顔つきがおかしかったり、眼や身体の動きが不活発、また物事に対する反応が鈍い(笑わないなど)場合は、時に髄膜炎のような重大な病気が隠されています。お母さんがいつもと違うと感じたときは、真夜中でも小児科医を叩き起こしてください。お母さんは時に、医者よりも早く病気を発見します。

突発性発疹症(突発疹)の発熱について
 突発疹は、生まれて初めての発熱、6〜12ヶ月の乳児、熱はしばしば39 ℃を越える、熱以外の症状がない、熱のわりに元気などの特徴をもちます。時には、他の熱や発疹を伴う病気(川崎病、はしか、伝染性単核症など)の始まりということもあります。どちらにしても、数日の勝負です。負けないで頑張りましょう。お母さんになって行くための鍛練です。


発熱一口メモ
1. 発熱の種類には、感染によるもの、日射病など外からの原因、脳腫瘍  や心の病気など頭から出るものなどがあります。感染で、41.5℃を越  えることはありません。
2. 感染による発熱は、細菌やウィルスのもつ発熱物質が、身体に働きか  けておこります。脳にある体温調節中枢が高体温を保ちます。高体温  は、身体が病原体と戦う時に、有利に働くのです。
3. 最近は、風邪薬に解熱剤を混ぜないで、子供が熱のために、元気がな  くなっていたり、不機嫌な場合にのみ頓服や座薬で与えるほうがよい  といわれています。

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