新米ママアドバイス特集   

 緑が美しい季節になりました。連休も終わりホッと一段落というところでしょう。外来では、お腹につく風邪がボチボチと流行っています。風邪との戦いは一年中ということでしょうか。
 さて今回は、新米ママへのアドバイス特集で迫ってみました。お母さんは子供を生んだから親という訳ではありません。子供と格闘しながら本当の親になります。失敗もあって当然ですが、育児の知識はよけいな心配を減らしてくれます。核家族が増え、おばあちゃんの智恵袋も途絶えがちな現代の子育てに、役立つアドバイスを特集してみました。
坐薬について
 子供は吐くことが多いとか羞恥心も少ないなど、坐薬を利用する機会は大変多いのです。坐薬の特徴としては、消化管障害が少なく吸収も早いという長所があります。欠点としては、下痢や便秘をしていると効果が弱い、挿入刺激により便と一緒に坐薬が出てしまうなどがあります。現在いろいろな効果を持つ坐薬が使われていますが、解熱や鎮痛だけでなく、吐き気止め、けいれん予防、咳や喘息発作治療また抗生物質の坐薬もあります。何かの時にはご相談ください。
 さて坐薬の入れ方ですが、乳児や幼児では、なかなかおとなしくは入れさせてくれません。肛門に入れる違和感は誰でもいやなものです。少なくとも痛くないようにしてあげてください。その為には砲弾型の先端に潤滑油(ワセリンやオリーブ油、なければ唾液でも)を付けます。坐薬をいやがる子供のお母さんに聞いてみると、そのままなにも付けずに入れていたということが多いようです。入れても出てしまうと訴えるお母さんもいます。小指の2番目の関節までしっかりと押し込んでください。下痢をしている場合は、せっかく入れた坐薬が少しして便と一緒に出てしまうことがあります。こんなときは、入れる前に指を入れて肛門近くにある便を出させてから入れましょう。明らかに坐薬が便と共に溶け出している時は、再度新しいのを入れてあげてください。
肘内障(ちゅうないしょう)について
 
肘内障は、2歳から5歳くらいまでで見られる肘関節の脱臼のことです。最近、当院で乳児の肘内障を2人ほど経験しました。普通は親が手を引っ張ったあと、急に泣き出して腕を動かさなくなることで発見されます。当院を受診した乳児は、ベッドに寝かそうとした時にちょっと手が引っかかっただけなど、ささいなことで起こりました。おもちゃを持たそうとしても、その手は動かしません。無理に動かそうとすると痛がります。整復は慣れれば難しくありませんが、家庭で初めて体験したときは、早めに整形外科や小児科を受診してください。
新生児のニキビについて
 生後2週から3ヶ月までに認めます。あたかも思春期のニキビのようです。これは母親由来の脂腺を高めるホルモン(アンドロゲンやプロゲステロン)のためです。特に治療は必要ありません。石鹸での洗顔などスキンケアをしておけば、数週から数カ月で自然に消えていきます。
おむつ皮膚炎(かぶれ)
 おむつをつけている乳児の下腹部や臀部に出来る皮膚炎のことです。原因としては、尿や便による刺激、尿中の尿素の分解によって出来るアンモニアの刺激、おむつそのものによる刺激、また汗による刺激などが考えられます。治療としては、スキンケアが基本です。尿や便で汚れたおむつは出来るだけ早めに換えてあげてください。換えるときに臀部をお湯でバシャバシャと洗って十分に汚れを流してください。清潔なタオルでたたくように拭いた後は軟膏です。塗り薬としては亜鉛華軟膏や非ステロイド軟膏を使います。
 時には、かぶれにカンジダなどのカビが付いて治りにくくなっている場合があります。この時はカビを殺す軟膏が必要です。
乳児突然死症候群(SIDS)
 「乳児突然死症候群」dなんと恐ろしい病名でしょうか。新聞誌上にときどき顔を見せる病名ですから、一度は聞いたことがあると思います。厚生省研究班によると、わが国のSIDSは、2000人に1人と欧米に較べて低いので、日本での関心は今一つです。欧米では、「うつ伏せ寝をやめる、母乳を勧める、妊婦及び乳児の周りでタバコを止める」などのキャンペーンでSIDSの発生が半減しているそうです。子供の命を守るためには生活のスタイルも大事です。


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