あけまして
     おめでとう
       ございます


   エンゼルプランをご存じですか

 新しい年、そして期待の年、平成十一年に突入しました。経済状況は回復することなく新年を迎えてしまいましたが、医療機関も経済の浮沈と無関係ではありません。お父さん、お母さんは家の経済を考えて、風邪を引いても病院へ行くことを控えています。子供でさえ咳や鼻水だけでは、病院へ連れていってもらえません。熱が出ても直ぐにとはいきません。二、三日目で仕方なく親も腰を上げます。特に二番目、三番目の子供は親も熱に慣れているので遅れがちです。新年早々、生々しいお話をしてしまいましたが、これが現実です。社会経済は、間接的に子供の健康にまで影響を及ぼしているのです。 さて、新年のマンスリーニュースは、エンゼルプランについて考えてみたいと思います。

 エンゼルプランとは?

 厚生省の組織の中に児童家庭局というのがあります。そのホームページをのぞいてみると、「妊産婦と乳幼児の健康を守る母子保健対策をはじめ、乳幼児に対する保育対策、児童手当の支給及び、児童全般を対象とする健全育成対策に加え、特に保護が必要な児童や家庭を対象とする母子家庭対策などの施策を実施しています。」と書かれています。読み進んでいくと、「平成六年十二月十六日に、厚生・文部・労働・建設四大臣合意により策定された『今後の子育て支援のための施策の基本的方向について』(エンゼルプラン)は、少子化が子どもの成長や社会経済に大きな影響を及ぼすことが懸念される中で、子育て支援に社会全体で取り組み、総合的・計画的に推進するために策定されたものであり・・・具体的には女性の社会進出の増加等に伴う、保育需要の多様化等に対応するため・・低年齢時保育や延長保育等の保育サービスを充実していく」・・ということです。手短に言えば、保育所の充実(保母さんの増加や低年齢の子どもも預かり、時間も延長)ということですが、保育所を充実させることが子育ての進歩なのか、とふと考えてしまいます。

 エンゼルプランってかっこいいけど

 エンゼルとは、ご存じのように天使のことです。。エンゼルプランは、訳せば「天使計画」です。子どもを天使にする計画と言うことでしょうか?本当に子どもが天使になってくれたらこれほど楽なことはありません。子どもが天使なら、さしずめ親は神様です。しかし、欠点多い人間が育てるのですから、子どもが天使に育つわけはありません。オオカミに育てられた人間の子どは、オオカミになるのですから(その方が幸せなのかなー)。
 子どもの犯罪が新聞紙上を賑わせています。暴力やいじめも低年齢化しています。どこかで子育てが狂ってきているのでしょうか。確かに一年一年、子どもたちの生まれる年代によって周りの環境が変化していることは事実です。経済的にも時間的にも生活は楽になっていると思いますが、それが子どもの環境にとっていじめや暴力を生んでいるとしたら、どう改革すればいいのか、本当に悩んでしまいます。その結果がエンゼルプランなのかもしれません。

 誰がを子どもを育てるのか?

 人間はエンゼルでも神でもありません。地球上に発生した生物であり哺乳類です。そんなことは当たり前だと怒られるかもしれませんが、問題に突き当たったら原点に戻ることが鉄則です。哺乳類の子育ては、まず母乳です。母親のオッパイにむしゃぶりついている赤ちゃんの満足そうな顔を思い出してください。本当にこの時は、エンゼルに見えます。その様子をのぞき込む父親の更に満ち足りた顔(へー、これが僕の分身なのかー)。
 いくら、時代が進みお母さんの仕事への進出が増えたとしても、子どもがこんな時間が過ごせるような職場環境や保育環境が守られることが必要です。
 保育所の低年齢保育や時間延長は、むしろ逆の方向に向かっている気がして仕方ありません。保母さんは増えるに越したことはありませんが、あくまでも子育ての主役は親なのです。子どもと親が、どれだけ長く接していられるかが子育ての基本であることを忘れてはなりません。子育て休暇の充実や、子育てをしている最中の親に対する社会(勤務先)の理解、特に母親に対する経済的、精神的支援が重要です。まず親の余裕が、そしてそれが子どもに伝わり、子どもはエンゼルに近ずけるのです。

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