アデノウィルス感染症   

 高熱を出す風邪が流行しています。今年は猛暑のせいか、去年に比べるとかかる子供の数がずいぶん多いようです。この夏かぜの犯人「アデノウィルス」は、色々な病状を示します。今月は、40 種以上にも分けられるというこのウィルスについて勉強しましょう。
 上気道炎
 一年を通じて流行する風邪のもとになっています。発熱、咳、鼻水などが主な症状ですが、時にだるさや食欲不振、筋肉痛などを伴います。
 咽頭結膜熱
 アデノウィルス感染症の代表的な病気のひとつです。別名プール熱とも呼ばれます。潜伏期は5日から7日で徐々に症状を表します。発熱、咽頭炎(咽頭痛)、結膜炎を特徴としますが、症状が全部そろわないこともあります。幼児では嘔吐や下痢を伴うこともまれではありません。発熱はほとんどの患者さんで認め、38〜40 ℃で4日から5日続きます。結膜炎は、一方または両眼の発赤や充血が出現します。
 治療は症状を治める対症療法が行われますが、細菌感染などが起こっていないか注意を払う必要もあります。
 予防のため、プール後の洗眼やうがいを心がけましょう。
 流行性角結膜炎
 一年を通じて認めますが、これも夏にプールを介して流行します。潜伏期は4日から6日で急に結膜が充血し、目やにや涙が出ます。成人では、角膜(黒目)に炎症を起こすこともあります。細菌感染に対する注意が必要です。
 急性細気管支炎
 細気管支炎は、乳幼児で熱と胸のゼーゼー(呼吸困難)を特徴とするウィルス感染症です。アデノウィルスで起こる場合もあり、この時は重症になりやすいと言われています。
 アデノウィルス性肺炎
 ウィルスによる肺炎ですが、乳幼児では、発熱、咳、喘鳴、呼吸困難を伴い重篤で、まれには死亡することもあります。
 夏は、子供にとって色々なことが体験できる楽しい季節です。しかし今回勉強したようにアデノウィルスも頑張っています。夏かぜに注意しながら穏やかな秋を迎えたいものです。


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